1980年、アニメ「機動戦士ガンダム」のホビーアイテムとして発売され、爆発的ブームを生んだガンプラ。それから42年、今やガンプラは日本が誇る最大のアニメグッズに成長した。現在「ガンダム」ではアニメ最新作「機動戦士ガンダム 水星の魔女」(毎週日曜日昼5:00よりTBS/MBSほか)が人気を博しているが、実はガンプラではアニメの最新キットと共に42年前の初代ガンプラもいまだに売れ続けているという。最新キットと42年前の旧キットが共存するわけはどこにあるのか。ガンプラの製造・販売を手掛ける株式会社BANDAI SPIRITSのホビーディビジョン企画担当、諸岡氏に、「水星の魔女」最新キットの進化と共に、アニメグッズ・ガンプラのトリビアを聞いた。
海外ファンも注目のアニメ最新作「機動戦士ガンダム 水星の魔女」
――まずは「水星の魔女」の放送が始まってからの反響を教えてください。
やはりテレビ放送が始まるとガンプラへの注目度も高まりますね。「水星の魔女」の人気はキットへの反響という形で私たちも肌で感じています。国内はもちろん、海外ファンからも注目を集め非常に好調ですが、特に主人公機ガンダム・エアリアルのキット(HG 1/144 ガンダムエアリアル)はすごい人気です。過去シリーズの主人公機と比べても倍以上の勢いで飛び抜けています。
――過去の主人公機も相当の人気なのに、その倍以上というのは驚きです。
私たちもここまでの反響をいただけるとは正直予想していませんでした。エアリアルはガンダム初参加のJNTHEDさんがデザインした機体で、今までとは違うラインの新しさが人気を集めているようですね。ユーザーさんの反応を見る1つの指標に平成のヒット作「機動戦士ガンダムSEED」があり、アニメ、ホビーアイテム共に若年層、女性層といった新しいファンを掴んだ作品ですが、「水星の魔女」も同じように大きなムーブメントになる予感がしています。
ロストテクノロジーを復活させた「HG 1/144 ガンダムエアリアル」
――ガンプラでいうと、「水星の魔女」のキットにはどんな進化ポイントがありますか?
大きくいうと2つあって、1つはパーツを減らしつつ、アニメ設定の再現度を高めている点です。数年前にエントリーモデルという、比較的簡単に組めて再現度も高いというシリーズを立ち上げて、それがとても好評でした。その技術をフィードバックして設計されたのが「水星の魔女」のキットです。HGの場合、武器を除いた本体パーツ数は100~130ですが、エアリアルは100を切っています。組みやすく、ガンプラに初めて触れるという初心者にもお勧めのキットだと思います。
もう1つが、機体の発光部分にインモールド成形パーツ(※)を使っている点。アニメを観れば分かりますが、エアリアル、所々が発光しますよね。それを表現するために組み込んだパーツです。実はこのインモールド成形パーツ、過去SDガンダムで採用して好評でしたが、諸事情で消えたガンプラのロストテクノロジーなんですよ。エアリアルの発光表現に絶対マッチすると思い、今回思い切って復活させてみました。
※インモールド成形パーツ…パーツ表面にカラー樹脂を転写する成形方法。
――エアリアルは別格として、他に人気のキットは何になりますか?
「PROLOGUE」に登場したガンダム・ルブリスも人気ですし、まだ発売前ですが、ミカエリスやダリルバルデなども注目を集めていますね。個人的にはガンダム・ファラクト、デミトレーナーのチュチュ専用機がシンプルな格好良さでお気に入りです。