マリナーズで球団会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏のチーム「イチロー選抜KOBE CHIBEN」が3日、東京ドームで「高校野球女子選抜」と対戦。試合は「イチロー選抜KOBE CHIBEN」が7-1で勝利し、イチロー氏も「9番投手」として先発出場し、9回2安打1失点の好投で見事に完投勝利を挙げた。また試合後には、試合に参加した女子高校生選手たちへ「女子野球強化プログラム」と題して、女子高生からの質問などに応じ、様々な“金言”を送った。
「初めて肩をぶっ壊して…」昨年の試合を回顧するイチロー氏
あらかじめ椅子が用意されていたが、「これさ、なんか違うよね。本当に疲れてる人みたいになっちゃうからさ(笑)。僕、ここの方がいいよ」と言い、人工芝に上に直接座る形で行われた。
イチロー氏は「僕、去年の(高校野球女子選抜との)試合で生まれて初めて肩をぶっ壊して。これくらい投げられるようになったのは、8月中旬くらい」と明かし、「ボロボロなんですけど、この感じが気持ちいいんですよ(笑)。『限界を見る』とは言えるんだけど、実際にはなかなかそこにはいけない。現役中にはできなかったことを、今取り組んでいて、乗り越えていくのが気持ちいい」と表現。そのうえで「でもこうやって試合してくれる相手がいなかったらね。僕にとってもよい時間でした。本当にありがとうございます」と感謝した。
「その瞬間に関係性は変わる」…苦手ピッチャーへの心構え
「苦手なピッチャーとの対戦では、打席で何を考えているか?」との質問に対して、「プロの世界では同じピッチャーと何回も対戦するので、なるべく、早い段階で苦手意識を払拭したい。でも相手にもそれが分かっているから厄介」としたうえで、「松坂大輔も実はそうだった。初対戦で3三振を食らってます」とイチロー氏。「なにが嫌だったかって、もちろん球も早かったけど、なにより驚いたのがスライダーの軌道だった。スライダーなのに、すごい攻められて押されてる感じ。このスライダーを捉えない限り、ずっとやられると思ったので、早い段階で、スライダーを捉えることが僕にとって重要だった」とした。
そして「シーズン終盤にスライダーをホームランを打った瞬間に、僕の中で苦手が払拭された。相手のベストピッチを叩けばそれができるけど、相手の失投をどれだけヒットにしても実は関係性は逆転しない。相手の一番自信のある球で結果を出せば、その瞬間に関係性は変わるよね」と語った。