すると突如、わらわらと兵士たちが飛び出してきて時房をねじ伏せた。戸惑う時房だが、目の前の貴族が上皇その人だとわかると血相を変え、「ご無礼をお許しください!」と平身低頭。
時房を気に入ったらしい上皇は、「“トキューサ”と申したな?」「いずれまた、勝負しようぞ。“トキューサ”」と語り掛け、時房の目の前で「わが最愛の子たる親王を鎌倉に与える話、早く決めてやれ」と言い残し、その場を後にした。
命取りにもなりかねない大失態が逆に、上皇に好印象を与える結果に――。この展開、瀬戸演じる時房の愛嬌あふれるキャラクターがあればこそだ。たしかに、ニコニコしていた時房が血相を変え、「トキューサにございます!」とひれ伏す一連の展開からは、彼の素直さ、誠実で一生懸命な人柄が伝わってくる。
そういえば若い頃、蹴鞠の師匠であった平知康からも「他の者たちの蹴鞠には邪心が見えたが、そなたの球筋だけはつねにまっすぐであった」と評されていた(第30回より)。瀬戸自身もインタビューで「箸休めではないけれど、ちょっと視聴者の方がホッとできる瞬間を担えたらいいな」と語っているが、時房の心根のまっすぐさが、権力闘争の渦中で殺伐とする鎌倉のほとんど唯一といっていい癒やし要素となっているのは間違いない。
視聴者の間でも「上皇様に肩パンしても気に入られるトキューサ無双」「最高に楽しいシーンでした!」「京都にまでトキューサ呼びされてるの笑う」「トキューサ可愛すぎる」といった声が上がり、Twitterでも「トキューサ」が一時トレンド1位に躍り出る人気ぶりだ。
だがその一方で、第42回では実朝がつくらせた船の設計図に細工をするような怪しい動きも見せていた。公式サイトによれば「やがては義時も政子も頼る大政治家に」なるという。癒しと愛嬌の人・時房は今後、どんな“大政治家”となっていくのだろうか。
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