“誰も見たことがない番組”の形を見つけることがテレビマンの命題
――また「アウト×デラックス」も、現場が楽しそうですよね。
「そうですね。この番組も、ゲストの方とは事前に入念な打ち合わせはしますけど、本番の進行はあまり決め込まないようにしているんです。収録当日も、矢部(浩之)さんには打ち合わせの内容を伝えるけれど、マツコ(・デラックス)さんには最低限必要なポイントだけを伝えて、『他に気になることがあったら、直接ご本人に聞いてください』とお願いしています(笑)。矢部さんがリードして、マツコさんとゲストの掛け算でトークがふくらんでいくのが一番面白いと思うので。要するに、『アウト×デラックス』においては、打ち合わせ通りに行かずに脱線していくことが成功なんですよね」
――鈴木さんが番組を作る上で、最も大切にしていることは何ですか?
「やっぱり、まだ誰も見たことがないような番組を作りたいですね。今は娯楽がいっぱいあって、テレビを見る人も減っていますけど、探せばあるような気がするんですよね、“誰も見たことがない番組”の形が。それは、“ネットで検索しても見つからないもの”と言い換えることができるかもしれませんけど、そういう未知のものをいかに見つけることができるかが、僕らテレビマンに課せられた命題かもしれません。何だかんだ言っても、日本のテレビ文化には80年近くの歴史がありますし、制作している人間たちも、カメラワークにしろ編集にしろ、ネットには負けない経験と技術がある。これは大きな武器だと思うんですよね。
あとは、出演者を傷つけるような番組は絶対に作りたくない。『アウト×デラックス』はかなりギリギリなところを攻めている番組ではあるんですけど、収録後、ゲストの方に気持ちよく帰っていただくことを何よりも大切にしているんです」
――では今後は、どんな番組を作ってみたいですか?
「いろんなジャンルをやってみたいんですけど、やっぱり昔からの夢だったコント番組は、一度チャレンジしてみたいですね。ただし今のご時世、コントは視聴率が取れないというのは厳然たる事実なので、今はちょっとガマンするときなのかもしれません。だから、まずは人気番組を作って、その中のワンコーナーから始めるっていうのも、ひとつの手なのかなと。僕、“ワンコーナー作り”は得意ですから(笑)。そうやって少しずつ、コントの面白さを世に浸透させていって、いつかゴールデンタイムでコント番組ができたら…なんて考えたりしてます」