落合陽一「感動する仕事を生み出すアトリエが最高の空間」<MY BEST PLACE>
自身が最もリフレッシュできる“場所”や“もの”を語る企画「大人のオトコに聞く『MY BEST PLACE』」。枠にとらわれず、活躍の場を広げ続けるメディアアーティストの落合陽一氏に、多忙の中でも仕事や日々を楽しむコツを聞いた。
メディアアーティストとしての活動を軸に、研究者として大学で教壇に立ちながら、写真家や実業家としても活躍する落合陽一。自ら「久々に肩書を数えたらめっちゃ多かった」と笑うほど多忙な日々を送るが、最近は「翌日に疲れを残さないように仕事をする」がテーマだという。
20時間予定があっても感動できる毎日は楽しい
「持続可能ということですよね。疲れないように生活するのは非常に効率がいい。以前は睡眠時間が4時間30分だったんですけど、当時めっちゃ体調が悪くて。今、4時間50分にしたらすごく快適。アラームを使わなくてもパッと目が覚めるようになりました。朝起きたら『NHK NEWS おはよう日本』(NHK総合)を見るのが日課です。覚醒するには人の声を聴くといい、と聞いたのもあるんですけど、昔からニュースを見るのが好きなんです。CNNとかのニュースをずっと流しているときもあるんですけど、たまにつけたまま寝落ちして悪夢にうなされます。事件のナレーションとかが入ってくると変な夢見ちゃうんですよね」
朝7時から未明まで、毎日20時間近く予定が埋まっているとも話す。
「といっても、忙しいという感覚はないですね。作品とか仕事じゃないような仕事が多いのもあるけど、予算申請書を書くのも面白いし。最近は感動できることがポイントかなと思っています。新しいことが起こったときや予想外のことを得られるときが一番楽しいし、感動できる。いつも何か未知のことが起こるようにしようと意識しています。今、インタビューを受けている間も、僕の代わりに裏でAIが仕事をしてくれているんですよ。機械学習で映像を作っているんですけど、何が出てくるか分からないから、この後その結果を見るのが楽しみ」
「news zero」(日本テレビ系)に出演中も、出番以外は他の仕事をしていると明かす。
「タイムテーブルが決まっているから、出ていないときは手が空いているはずだと、メールの返信に追われています。『サンデージャポン』(TBS系)でも番組中にフワちゃんの写真を撮っていたことがありましたね。フワちゃんに『番組に集中しなさいよ』と言われたりして」
どこへ行くにもカメラを持ち歩いている落合だが、この日手にしていたのはライカのモノクロームカメラ。「味わい深いでしょ?」と撮った写真を見せてくれた。
「ここ2日くらい思考を変えて、モノクロだけしか撮れないカメラを持ち歩いていますけど、カメラも仕事。趣味で撮ることはないですね。声が聞こえないと嫌なので、子供たちも写真じゃなくて動画で撮るし。僕はアーティストだから、趣味っていったら作品作りで、それが職業。つまり僕が僕のためだけに楽しくやっていることが作家としては重要なことなのかなと。すごくシンプルに言えば現代アート作家って、歴史の中の自分が発注主で、自分の美しいと思うために作っているものを他人に見せて共感いただいているだけなんですよ」
おちあい・よういち=1987年9月16日生まれ、東京都出身。メディアアーティストとして個展を数多く開催。筑波大学准教授であり、ピクシーダストテクノロジーズ等の企業や一般社団法人の代表を務めるほか、政府有識者会議の委員や大阪・関西万博テーマ事業プロデューサーなどを歴任。「news zero」(日本テレビ系)に火曜日パートナーとしてレギュラー出演中