コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、一組のカップルの何気ない日常を切り取った漫画『不器用なドーナツ』と『アイスクリームシンドローム』、そして付き合う前の同じ二人を描いた『シュガーハイ』をピックアップ。
これらの3作品を作者のますだみくさんが“いい夫婦の日”11月22日にTwitterに投稿したところ、3.5万以上(12月16日現在)の「いいね」が寄せられ反響を呼んだ。この記事では、ますだみくさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについてを語ってもらった。
カップルの何気ない日常をリアルなシチュエーションと台詞で描く本作
2年前から同棲を始め、付き合って6年になる紗南と翔平。しかし、最近になって翔平は仕事終わりはどこかに寄って帰りが遅く、せっかくの休みも誰かとどこかに出かけてしまうことが続いていた。さらには急にジムに通い出したり、髪型も気にするようになった翔平のいつもと違う様子に心配になる紗南。意を決して友人に相談するも「女じゃない?」と返されてしまい、悩みはますます深まるばかりだった。
そんな中、翔平が手土産として決まって買ってくるドーナツを二人で食べながら、直接真相を聞いてみようと試みる紗南。「彼の心を覗けたらいいのに」と手に持ったドーナツの穴から翔平を覗くと、指輪を持つ彼の手が見えて…。
一組のカップルによる、恋人になる前から結婚後までの何気ない日常を時間の経過と共に描いた本作。『アイスクリームシンドローム』ではケンカした二人が仲直りするまでの様子を、『シュガーハイ』では付き合う前の二人の甘酸っぱいやりとりが前編と後編にわたって描かれている。
3作品すべてを通してリアリティあるシチュエーションやセリフ、繊細に描かれた仕草なども話題となり、Twitter上では「エモい」「ラストが幸せすぎる」「尊い」「不器用だけど頑張ってる彼氏バンザイ!」「親近感が湧きました」など、多くのコメントが寄せられ反響を呼んでいる。
「“作品を見た人の想像の余白を残すこと”を大切に」作者・ますだみくさんが語る創作の裏側
――本作では、一組のカップルに焦点をあてた何気ない日々の出来事が3作品にわたって描かれています。これら一連の作品を創作したきっかけや理由があればお教えください。
当時 インスタの質問箱でショート漫画のお題を募集していました。その中に「穴」というワードが目につきました。「穴→ドーナツ→似たような形のもの→指輪...?」の連想ゲームの流れでドーナツから指輪を見る構図を思いついたのがきっかけです。
――本作では、紗南と翔平による二人の付き合う前から結婚後までの物語がリアリティ溢れるセリフとともに展開していくのが印象的です。それぞれのキャラクターはどのように生み出されたのでしょうか?
あまりキャラクター構成時のことは覚えていないのですが、ストーリー的にただドーナツ食べながらプロポーズするのは面白くないと思い、最初は不穏な空気からスタートしたらいいのかも?というので、思いを言葉にするのが苦手な不器用なキャラクターが生まれたのではないかと思います。
――ますだみくさんの作品では、美しくシンプルな線で描かれる人物と繊細な表情描写もとても魅力的です。ますだみくさんにとって作画する際のこだわりや、作画の際に特に意識している点はありますか?
普段から黒を多く使うので、引きで見たときに全体が重くなりすぎないように気をつけています。
――この3作品の中で、特に思い入れのある(気に入っている)シーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
制作のきっかけになったドーナツ越しに指輪を見つけるシーンが特に気に入っています。
――ますだみくさんはこれまでも、恋愛にまつわる漫画作品や1枚絵などを多く描かれていらっしゃいます。恋愛感情を通して“男女の人間模様”を描く理由や、こだわりがあればお教えください。
私は学生時代に映像を学んでいたのですが、実写映像やアニメーション、舞台作品など幅広く創作活動をする上で、「作品で全てを語るのではなく、作品を見た人の想像の余白を残すこと」を自分は大切にしていることに気づきました。人物に感情移入したり、想像しやすいのは、年齢性別問わず恋愛感情なのではないかと個人的に思っているので、恋愛関係であろう人物たちを描きつつ、情景描写などの想像の余白を残すことで見た人が楽しんでもらえるように制作しています。
あと男女問わず”恋をする人”は美しいと思っているので私の作品には恋愛をテーマにしたものが多いです。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
これからもいろいろな形で楽しんでもらえるような作品を作って行くので、応援して頂けると嬉しいです。