合同会社DMM.comがこのほど、多様なコンテンツ・エンタメ体験を提供する総合動画配信プラットフォーム「DMM TV」を開始した。群雄割拠のサブスクリプション型の動画プラットフォームの中で、勝算はあるのか。同社COOの村中悠介氏は、「勝算があるすれば、DMMという総合サービスの一環としてリリースしているところ」「総合サービスとして振り切ってやり切れるところが、DMM TVおよびDMMのアドバンテージ」と語る。また、「飽きさせない仕掛けにこだわり、企画に関してもかなり頑張って作っていくつもり」と意気込みを述べた。
「DMMがやるべきではないかと思った」“DMM TV”を立ち上げた理由は
――はじめに、「DMM TV」を立ち上げようと思った理由からお聞かせください。
当社では20年ほど、動画・電子書籍をはじめとしたデジタルコンテンツを販売する、いわゆるPPV(ペイ・パー・ビュー)を主体としたサービスを展開してまいりました。一方で現在、サブスクリプションサービスが普及し、コンテンツを定額で楽しむ文化が世の中に浸透しています。
――たしかにそうですね。
サブスクはある意味、コンテンツを広い層に、安く提供するサービスです。反対にPPVは、DVDなどを例に取るとわかりやすいですが、コンテンツの付加価値をある程度付けた上でコアなユーザーに提供するサービスであると言えます。このPPVの基盤を、今需要の高いサブスクサービスに活かせるのではないかと考えて今回、「DMM TV」を立ち上げました。
――なるほど。
それに現在、YouTubeやTikTok、サブスクが、ユーザーの興味関心の入り口となり、より深いコンテンツや体験を楽しむために、通販でグッズを買う、電子書籍で原作漫画を読む、リアルイベントに参加する…といった流れができていますよね。こういった、ユーザーがサブスクからPPVへ移行する一連のフローを一気通貫で行うサービスは、現状見当たりません。なので、ここはDMMがやるべきではないかと思ったことも大きかったです。
“DMM TV”の勝算は…「総合サービスゆえのメリットがある」
――ズバリ、勝算はありますか。
勝算があるすれば、DMMという総合サービスの一環としてリリースしているところだと考えています。Amazonプライムの会員が辞めない理由は、Amazonを利用する上で配送料がお得になるなど、Amazonという大きな運営母体をベースとした総合サービスゆえのメリットがあるからだと思っています。「DMM TV」についても、総合サービスとして振り切ってやり切れるところが、DMM TVおよびDMMのアドバンテージだと捉えています。
――同サービスの発表会に登壇されたオードリーの春日(俊彰)さんは「ずっと赤字なんじゃないか」といったことを発言されていましたが(笑)。
そうでしたね(笑)。やはり、「DMM TV」単体で収益化しようとすると相当大変で、かなりの会員数がいないと成立しません。なので、DMMの中でユーザーさんが「DMM TV」以外のサービスもご利用いただけるような導線と魅力的な商品ラインアップを用意することが大事かなと。そうすれば月額を安くしつつも、収益化が望めると踏んでいます。