“飽きる”というのは、お笑い番組では一番あってはならないことなんです
──『TVチャンピオン』では、具体的にどんなことを学びましたか?
「やっぱり、出場してくださる“一般人”の面白さですね。そして、それを引き出すためには、僕ら作り手が謙虚でなければいけないんだ、ということ。僕だけじゃなく、『TVチャンピオン』に携わった人はみんな、そういう謙虚さは学んだんじゃないかな」
──確かにテレビ東京では、“一般人”にスポットを当てた番組が多いですよね。
「そうですね。『家、ついて行ってイイですか?』をやっている高橋弘樹(プロデューサー・演出)にしろ、『モヤさま(モヤモヤさまぁ~ず2)』の株木亘(総合演出)にしろ、今うちの局で第一線で活躍しているディレクター陣は、『TVチャンピオン』に携わったことのある人間が多いんですよ」
──では、佐久間さんのテレビマンとしてのターニングポイントは?
「たくさんあるんですが、(『ゴッドタン』レギュラーの)おぎやはぎと劇団ひとりに出会ったのは、やっぱり大きいですね。入社2、3年目に、『さまぁ~ずの若手で笑っちゃったよ!』('02年)という特番で、ネタ見せのオーディションをやったんですけど、急きょ僕も立ち会うことになって、そこで僕がいいなと思ったのが、おぎやはぎと劇団ひとりだったんです。そこから、『大人のコンソメ』('03~'04年)、『ゴッドタン』と、ずーっと何かしら一緒にやってるんですよね。こんな長い付き合いになるとは思ってなかった(笑)」
──3人とは馬が合うのでしょうか?
「合うのかなぁ…分かんないんだよなぁ(笑)。小木(博明)さんなんて、一回もご飯を食べに行ったことないですからね」
──(笑)。そんな盟友3人と共に、斬新な企画に挑戦している「ゴッドタン」ですが、毎週のように企画が変わるので、番組作りは大変なのでは?
「いや、本当に難しくて。10年以上やってますけど、いまだに勉強中というか(笑)。他の番組ではうまく行く方程式が、『ゴッドタン』には全く当てはまらないんですよ。事前にオチのパターンを3、4個考えるんだけど、どのオチにもたどり着かない。すごくムダな作り方をしてるんですが、でも、その方が面白いんだからしょうがない、という(笑)。また、おぎやはぎも劇団ひとりも、特に飽きやすい人たちだから、同じ企画はずっとやれないですしね。最初は面白いなと思った企画でも、2、3回やったら、その後1年くらい寝かせないとダメなんです。でも、それも仕方ないですよね。“飽きる”というのは、お笑い番組においては一番あってはならないことなので」