中島裕翔(Hey! Say! JUMP)が主演を務める映画「#マンホール」が2月10日(金)より公開される。本作は「ライアーゲーム」シリーズや「マスカレード・ホテル」シリーズなどで知られる脚本家・岡田道尚によるオリジナルシチュエーションスリラー。「海炭市叙景」「私の男」などで海外からも高評価を得る熊切和嘉が監督を務める。中島が演じるのは、結婚式前夜に酒に酔い、どこかのマンホールに落ちてしまった男・川村俊介。過酷な境遇の役を演じた自分が「今まで見たことのない顔をしていたので嬉しかった」と語る中島に、30歳を前にした今、俳優として目指す姿を聞いた。
「どうやって演じたら…」生命力が強い役柄に疲れたことも
──今回、中島さんが演じた川村俊介は、結婚式前夜にマンホールに落ちてしまい、そこから這い上がろうと奮闘する役でした。初めて台本を読んだときの印象を教えてください。
こんなにいろんなことが起きるのかと驚きました。それから、川村は僕が今まで演じてこなかったようなダーティーな面を持ち合わせているキャラクターだったので「どうやって演じたらいいんだろう」って思いましたね。
──演じた川村はどんなキャラクターだと感じましたか?
生命力が強いキャラクターだなと思いました。たしかに、せっかく掴んだ幸せを逃さないように、いろんな手を尽くすという意味では、見ている人が共感するポイントの1つなんじゃないかなとは思います。でも、実際に撮影を通して川村が置かれた境遇を経験してみたときに「頭の中で想像する何倍も辛いな」と思いましたし、すごく疲れたんです。自分だったら諦めちゃうだろうし、ここまで頑張れないなと思います。
──撮影も過酷だったのではないかと想像します。
そうですね。寒いし、暗いし、狭いし、臭いし……その上でいろいろ起こりますから。特にもともと寒いのが苦手なので、寒さに関してはかなりしんどかったですね。僕、寒いと歯がガタガタ震えてしまうのですが、今回はガタガタしている方がリアルになるので、助かりました(笑)。
──完成した映画を見て、マンホールの中が緻密に再現されているなと感じました。
そうなんですよ。ちょっと汚れてる感じが本当にリアルで……って実際にマンホールの中を見たことはないんですけど(笑)。きっとこうなっているんだろうなと想像して、テンションが上がりました。役の気持ちを作る上でセットに助けられることってあるのですが、今回は本当に「マンホールの中にいるんだ」と信じられるようなセットだったので、自然と陰鬱な気持ちになれましたね。映画を見る方にも、マンホールの中に閉じ込められている気持ちになってもらえるんじゃないかなと思っています。
本能剥き出しの演技、「今まで見たことのない顔をしていたので嬉しかった」
──川村を演じる上で意識したポイントを教えてください。
撮影期間が空いたときに、マンホールの中での自分の精神状態をキープしたいなと思って、家中のカーテンを締め切って生活したり、3日間水を飲まないで過ごしたりしました。そこまでやる必要はなかったと思うんですけど、極限状態の中で脱出しようとする川村を表現するなら、物語が進むにつれて容姿が変わっていたほうがおもしろいかなと思ったんです。
──完成した映像を見て、そういったこだわりは表現されていましたか?
物語が終盤になっていくにつれて、自分の想像以上に本能剥き出しの怖い顔をしていて「こんな顔してたんだ!」と思いました。昔から自分の顔をたくさん見るような仕事をしているのにも関わらず、今まで見たことのない顔をしていたので嬉しかったんですよね。
──なぜ嬉しいと思ったのでしょう?
僕の仕事って、いろんな方のニーズに合わせて、自分を提供する仕事だと思っています。だからこそ、セルフプロデュースしていることに寄ってしまうというか、予定調和になってしまいがちなんですよね。
その一方で、今回演じた川村は、アイドルをしているときの僕とは真逆。人間の醜いところや、本能を引き出すような役だったのですが、頭の中にあったプランを超えた自分を見て「ここまで、のめり込めたのか」と思えたんです。もちろんそれは僕1人で作れたものではなくて、監督をはじめとするスタッフさんが作り上げてくれたセットやメイク、衣装、照明などに助けていただいたおかげだと思います。
──たしかに、中島さんの印象が変わるようなシーンが多々ありました。
声も荒げて、言葉遣いも悪くなっていく役なので、ファンの方には、普段の僕の活動を見て安心してもらえたらなと思います(笑)。映画を見てのめり込んでくれたら、役者冥利に尽きるのですが「役だよ〜」と伝えたいですね。