江戸川乱歩の作家デビュー100年を記念し、虚実織り交ぜながら“知られざる江戸川乱歩誕生秘話”を描く土曜ドラマ「探偵ロマンス」(毎週土曜10:00-10:49、NHK総合)。濱田岳演じる若き日の江戸川乱歩・平井太郎と草刈正雄演じる名探偵・白井三郎のコンビや大正時代の空気感の見事な再現、そしてアナログで華やかなアクションなどで話題となっている同作が、いよいよ2月11日(土)に最終回となる第4話の放送を迎える。
今回はそんな「探偵ロマンス」にて上海帰りの貿易商・住良木平吉を演じている尾上菊之助にインタビュー。視聴者に大きな驚きを与えた第3話の撮影秘話や住良木と三郎の関係性、第4話の見どころなどについて聞いた。
住良木は恵まれない方の心の闇にふっと入り込む
ーー江戸川乱歩の誕生秘話を描いた「探偵ロマンス」ですが、脚本を読んだ時の感想を教えてください。
乱歩作品では小学校の図書館にあったおどろおどろしい表紙の「怪人二十面相」を読んだ思い出があります。挿絵が不気味だったこともありますが、その時、物語の中に闇があるような感じがしました。
このドラマでは恵まれない方の心の闇に住良木がふっと入り込んで心を動かしてしまいます。大正という激動の時代にはやむをえず闇の中でしか生きられなかった方がたくさんいらっしゃったと思うので、坪田文先生はそういう部分も含め、乱歩の世界をエンターテイメントとして脚本に描かれたのではないかと感じました。
また、「探偵ロマンス」は太郎を軸に、群像劇のように登場人物が描かれていきますが、非常に短いシーンが連続しているので、ストーリーを追うというよりは、一間一間面白い場面を見て、自分の頭の中で構築していくようなドラマという感じがしました。伏線がたくさん散りばめられていて、お客様もご覧になる中でまさに江戸川乱歩の小説を読んでいるように謎解きをしてくださっていると思いますので、完結に向けてぜひご期待いただけるとうれしいです。
住良木は“バク”のような人間
ーー今回ご自身が演じられている上海帰りの貿易商・住良木をどのような人物と捉えていらっしゃいますか?
若者に夢を抱かせてそれを食らう、バクのような人間だと思いながら演じておりました。
人の心に入り込んで理想を語らせ、その理想に導いていく。でも、それは住良木が操った「理想」であって、そこから外れると住良木は多分異常な行動をとってしまう。そんなところも第4話で見えてくると思います。