コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、1人の少年に恋した二重人格の少女の恋の行方を描いた漫画『恋心が乖離する』をピックアップ。
作者のたけみつさんが2022年8月より約半年にわたってTwitter上で連載していた本作。新しい話が更新される度に多くのいいねが集まり、最終話が更新された2023年2月19日の投稿には2.1万以上のいいねと共に、「尊い」「神作すぎる」「ボロボロ泣いたわ…」など多くの反響コメントが寄せられた。この記事では、たけみつさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて伺った。
"真逆"の性格をもつ二重人格の少女、誰もが望む理想のハッピーエンドに歓喜
家は隣同士、学校もクラスもずっと一緒の幼なじみ、空とフミ君。フミ君は空に好意を寄せるも、空は全くその気がなく、何か嫌な感情を感じとることがあるほどだ。しかし、空には自分でも気づいていない1つの秘密があった。それは、自分が二重人格であること。
昼間の空と全く違う性格の副人格に困惑するフミ君だったが、副人格の形成にはフミ君が大きく関わっていた。もともとフミ君が好きだった空は、フミ君と自分の釣り合わなさをストレスに感じ、恋心を切り離すために副人格を作っていたのだ。
フミ君は副人格との関係に悩みながらも、「雨」という名前を付けて付き合っていくことを決意。しかし、多重人格の治療目標は人格の統合であり、最終的にはどちらかの人格が消えることになる。雨が人格統合を嫌がる中、空は副人格に移っている時の行動を夢として見るようになり、少しずつフミ君を意識するようになるのだった。
真逆の性格をもつ空と雨、2つの人格との関係性に悩むフミ君。それぞれの人格とフミ君に訪れる恋の結末とは…。
二重人格の少女それぞれに芽生えたフミ君への恋心や、2人との関わり方に悩むフミ君の感情を繊細に描いた本作。誰もが望んだハッピーエンドな結末や、最終話でのタイトル回収の緻密さも話題を呼び、Twitter上では「空も雨も幸せそうでよかった」「最後まで優しい世界」「タイトル回収熱い」「構成力がすごすぎる」「読むだけで微笑ましい気持ち」「マジで泣ける」などのコメントが多数寄せられ、反響を呼んでいる。
読み終わった後に「最後まで読んでよかったなぁ」なんて思ってもらえるようにしたい 作者・たけみつさんが語る創作の裏側とこだわり
――『恋心は解離する』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
きっかけとはかないのですが、なんとなく二重人格のヒロインの話ってどうだろうかと思いまして。二重人格になった原因は恋心が原因だとどうだろう、とか、じゃあそうして生まれたもう一つの人格はどういう性格だろう、とか考えているうちに面白い話になるかも、と思って、描き始めました。
――本作では二重人格になった空と、副人格で対照的な性格の雨が幼なじみのフミ君を翻弄する様子が描かれていますが、それぞれのキャラクターはどのようにして生まれたのでしょうか。
空と副人格はそれぞれ真逆の性格にしようと思ったので、片方の性格が決まったらじゃあもう一人はこういう性格だなという感じで、決めていきました。副人格の雨は重すぎる恋心から生まれた存在なので、少し愛が重いヤンデレ気味の性格で、じゃあ空は若干クールな雰囲気にしよう…みたいな感じで、それぞれのキャラクターはすんなりと決まっていきました。
――本作の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば理由とともにお聞かせください。
自分が一番気に入っているのは、最終話で雨が消えなかった理由が空と雨の恋心が解離していたから~、のところです。
最初タイトルを決める時にはそれほど意識せずに決めたのですが、途中でこういう描き方をすれば上手くタイトルに絡ませられるかも、と思ったのでああいう描き方に。読んでくれた方も、タイトル回収に気づいてくれて嬉しかったです。
――たけみつさんが描く漫画は、二重人格の女性との恋や双子の幼なじみとの三角関係など、少し複雑な設定が多いようにお見受けします。読者に伝わりやすくするためにこだわっていることがあればお聞かせください。
自分ではとにかくわかりやすい話に、とは意識しているのですが、今回は描いている時いつも「この描き方で伝わるだろうか?」という不安がありました。
1Pあたりの文字をできる限り少なく、とか、図を絵で描いて台詞だけの説明にならないように、とかは考えていました。あとは説明シーンでも間にギャグやラブコメを入れて楽しんでもらえるように、とかですね。
――たけみつさんは、本作に限らず少し変わった人間関係の中からにじみ出る尊さや誰もが心温まるストーリー展開が印象的です。普段漫画を創作する上で心がけていることや意識していることがあればお聞かせください。
僕自身があまり物語を読み終わった後に、後味の悪い気持ちにはなりたくないんですよね。なので、読み終わった後に「最後まで読んでよかったなぁ」なんて思ってもらえるようにしたいとは考えています。新作を描いた時も、「あの作品の作者だし読んでみよう」みたいな感じで言ってもらえるとホントに嬉しくなります。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。
僕自身プロでもなんでもない、100%趣味で描いている漫画なのですが、それでもこんなにたくさん描けるのは、間違いなく読んでくれる読者の方々のおかげです。もらったコメントを何度も見返しながら、次はこんな話を描いて、そしたらまたこんなコメントをくれるかも?なんてずっと考えています。それが一番の原動力です。
読んでくれる方々には、本当に感謝しています。またすぐなにかしら描き始めると思うので、その時はお付き合いしてもらえると幸いです。