メタバースの時代が来る?ラランド・サーヤ「なりたい自分になれるのが良い」<最強の時間割>
民放公式テレビ配信サービス・TVer初の完全オリジナル番組「最強の時間割〜若者に本気で伝えたい授業〜」が無料配信中だ。3月17日(金)に配信開始となったLesson14では、VR技術を駆使したバーチャルSNS「クラスター」を運営しているクラスター株式会社代表取締役CEO・加藤直人が登場。また、櫻坂46・小池美波が生徒として初参加した。
『竜とそばかすの姫』で描かれた世界がすぐそこに
「最強の時間割 ~若者に本気で伝えたい授業~」は、さまざまなジャンルのトップランナーが特別授業を実施し、ラランドのサーヤとニシダ、櫻坂46のメンバーをはじめとしたゲスト、そして学生ゲストが参加。トップランナーたちの授業がアーカイブされることで、TVerに「最強の時間割」が完成するというコンセプトの番組だ。
Lesson14では、メタバース企業「クラスター株式会社」代表取締役CEOの加藤直人が講師として登場。今回生徒として初参加となった櫻坂46の小池美波らに、メタバースの現在地と未来について語った。
加藤は京都大学理学部で宇宙論と量子コンピューターを研究したのち、大学院在学中の2015年に同級生と共に起業。VR技術を駆使したバーチャルSNS「Cluster(クラスター)」を立ち上げた。現在クラスターは100万ダウンロードを突破し、オンライン上で開催されたイベントは累計2000万人以上を動員したという。
最近になってよく耳にするメタバースという言葉だが、そこから連想されるイメージは「ゴーグルをつけるイメージ」「仮想世界」「ゲームのような異空間」など、漠然としていていまいちはっきりしない。加藤は、メタバースという言葉についての明確な定義は存在せず、「100人聞くと100通りの答えが返ってくる」とした上で、映画『竜とそばかすの姫』(2021年)で描かれた世界のイメージだと例える。同映画は50億人が集うインターネット上の仮想世界を描いたSFアニメ。加藤によれば、あの世界がかなり人間の手に届くところまで近づいてきているそうだ。
内閣府が打ち出した「ムーンショット計画」にも、「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現する」という目標が挙げられているように、現在は国を挙げてメタバースのさらなる発展に努めている状況。「本当にメタバースの時代は来るのか」という質問に、加藤も「確実に来ると思っています」と自信を持って回答。携帯電話でのネット通信のように、メタバースも「グラデーションのように徐々に浸透していくものではないか」と予想する。ただ、コンピューターの性能は1.5年で2倍に増えると言われており、15年後は現在ある技術が1000倍に進化している可能性が高いという。自分の分身であるアバターを自由自在に動かし、仮想空間で生活する“第2の人生”も目の前に迫っているのだ。
3年間の引きこもり生活が起業のきっかけ
Forbes JAPANが昨年11月に発表した「日本の起業家ランキング2023」にも選出された加藤。彼がCEOを勤める会社が運営するクラスターは行政ともコラボしており、「バーチャル渋谷」という渋谷区公認のバーチャル空間も存在する。そこで、ハロウィンなどの期間限定イベントや、きゃりーぱみゅぱみゅなどのアーティストの音楽ライブも開催。新型コロナ感染拡大防止の観点から、行政もメタバース空間でのイベント参加を推奨しているという。
「5年後とかにメタバースで漫才してるかもね」というサーヤに、実はすでに行われているという衝撃の事実が。なんと、年に一度の漫才頂上決戦「M-1グランプリ」の地上波放送中、2019年に優勝したミルクボーイがメタバース空間で漫才解説を行ったそう。これにはサーヤも「あんな古風な雰囲気でめっちゃ最先端行くやん」と驚きを隠せない。
時間と場所を選ばずに、たくさんの人とコミュニケーションを取ることができる仮想世界。加藤の元にはコロナ禍で大学が休講になってしまったという学生から「バーチャル空間内で友達が作れて助かった」という嬉しい声も届いたという。
実は加藤が起業を決意したのも、家にいながら人とコミュニケーションを取りたいという気持ちがあったからだ。実は大学院に在籍中、3年間ほどコンビニ以外は全く外に出ない引きこもり生活を送っていたという加藤。インターネットで欲しい情報や物は何でも手に入り、意外にも快適だったが、「人に会いたい」という根源的な欲求だけは満たされぬままだった。なんとかならないか……そう思っている時に出会ったのがVRのデバイスだった。
人とコミュニケーションは取りたいけど、リアルで人と話すことは得意じゃない。そんな自分にぴったりなバーチャルの世界に魅せられた加藤は「バーチャル空間に人が集まるサービスを作りたい。そんな時代が絶対に来るはずだ」という思いで起業し、現在に至る。自分の苦手なことやコンプレックスは時として、起業のタネになるのだ。