TVerでは今、「名作ドラマ特集」として名作が200作品以上も見られるようになっています。多すぎてどれを見ようか迷ったら、まずはひとつのテーマを決めて、懐かしいドラマからつい最近のドラマまで、そのテーマに沿って順に見ていくなんてどうでしょう。たとえば「家族について」をドラマを見ながら考えるのは、いかがですか?
「最高の離婚」(2013年、フジテレビ)
「つらい。結婚って長い長い拷問ですよ」そんな夫のセリフから始まり、タイトル通り第1話の終わりには離婚してしまうのに、そのあともずっと関わり続ける元夫婦。そこにもうひと組の夫婦も絡んで、不思議な4人の関係が続いていく。元は他人だったふたりが夫婦という家族となり、近づき過ぎた故に無意識に相手を傷つけてしまうとか、ああわかる……と胸につまるエピソードの連続。結婚って本当は拷問の続く地獄なのか、それとも天国なのか。尾野真千子さんと永山瑛太さん、真木よう子さんと綾野剛さんの軽妙な会話が魅力的。
「Nのために」(2014年、TBS)
10年前の殺人事件の現場にいた、イニシャルにNがつく4人。いったい彼らに何があったのか。そして時効寸前の放火事件の真相は。そんな謎を解いていくサスペンスですが、ラブストーリーでもあり、また家族が崩壊したあとで子どもたちがどう生きていったかの話でもあります。榮倉奈々さん演じる主人公・希美のお父さんが、笑顔で妻子を捨てていく姿がとにかくこわい。このドラマ以来、光石研さんがニコニコと出てくるたびに、今度はいい父か悪い父かと身構えるようになりました。ドラマのあと出演していた榮倉さんと賀来賢人さんが結婚、リアルな家族になりましたね。
「隣の家族は青く見える」(2018年、フジテレビ)
コーポラティブハウスと呼ばれる集合住宅に住む4組の家族。共有スペースで顔を合わせるたびに、幸せそうな隣人たちの家庭をうらやんだりしているけれど、時が経つうちに隠していた姿が見えてくる。不妊治療している夫婦、夫が失業中の家族、男性同士のカップル、子どもが欲しくないカップル。いろんな家族のかたちがあり、悩みもそれぞれ違う。お互いに大変ですよね、と言ってもらっているようで、見ていてほっとするドラマ。
「コタローは1人暮らし」(2021年、テレビ朝日)
だらだらと自堕落な生活を送る、売れない漫画家・狩野進(横山裕)。彼の住むアパートの隣室に引っ越して1人暮らしを始めた5歳児、コタロー(川原瑛都)。自分を「わらわ」と呼び、おもちゃの刀を腰に下げて周りの人の幸せを願うコタローが健気で、本当にかわいい。しっかりしているようでもやっぱり子どもなコタローを放っておけず、文句を言いながらも世話をしてしまう狩野が、いつのまにかコタローと一緒に成長していく姿に泣かされる。血が繋がっていない赤の他人でも、ふたりは家族といってもいいのでは。4月に新シリーズが始まるのが楽しみです。
■イラスト・文/渡辺裕子