コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。「ふかづめ」「針無シ」など複数の名義で活動している深津さんは、4月27日に「ストーリーバスターズ」を投稿した。すると意外で爽快感のあるストーリーに、6.7万のいいねが。大反響の本作について、深津さんに作品制作に関する話を伺った。
「脇役」と「主役」の違い
ホラーやパニックなどといった人気ジャンルの作品では、ファンから見れば「あ、このキャラは絶対死ぬな」とすぐわかる“お約束”が複数ある。そんなお約束の状態にひっかかってしまった主人公・辻木は、冒頭で自分がパニックホラー作品の“お約束”にハマっていることに気づいてしまう。
舞台は薄気味の悪い廃屋。周囲にはお調子者のビビりと、辻木をイジって楽しむクラスカースト上位のカップルがいる。どうやら辻木は肝試しをさせられるべく、「出る」と噂の廃屋に連れてこられてしまったらしい。たしかに、これはホラー映画なら全滅のパターン…。
「死ぬ気で頑張れば生還できる確信」がなぜかある辻木だが、ほかのメンバーはお約束通りの行動を1つひとつと繰り返していく。悲鳴とともにいなくなるメンバーたち。最後に残ったクラスカースト上位の男子とともに化け物が廊下の向こうから来るのを見た辻木は、勇気をふり絞って「こっちはなんとかするよ」と化け物の前に進み出る。しかしあわや化け物に餌食となりかけた辻木を救ったのは、意外な人物だった。
同作にはSNSで「こういうの大好き。まさかの展開すぎてアツい…!」「後日談も読んだら、続編が見たくて体が震えてきました」といった声が相次いでいる。
まだ登場していない「演劇部」のメンバーもいる
――本作を創作したきっかけや理由があればお教えください。
メタフィクションっぽい内容の作品を描いてみたいと思って、その中で物語における主人公の存在の大きさやその自覚部分について「自分が絶対的な存在であるという自覚」を持っていたら、という想像がきっかけだったと思います。
割と物語において主人公が一般人に近い思考である事って多いと思うので、自覚さえしていたら一般人はこういうテンプレート的場面ではどういう決断・行動をするだろうか、どういう思考でいるだろうかというある意味思考実験のようなものをしている感覚でお話を考えたと思います。
――本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
キャラクターたちの表情を描くのが好きなので、前半と後半とで「演技」によってガラっと変わるキャラクターたちの表情を見て頂けたら嬉しいです。
――お話の設定は“映画あるある”だと思いますが、特に着想の元になった映画はありますか。
映画と言うより、2000年代にネット上で流行っていたいわゆるフリーホラーゲームジャンルが着想の元になっていると思います。
実はホラー映画はちょっと苦手です…。
――モブたちはなんらかの組織の一員なのか、それとも独自で行動しているのか、どちらでしょうか。
彼らは「演劇部」という部活動の体で活動している団体です。
他にも化け物の出現を予想して台本を書いたり、役に入るための身元捏造や小道具などの準備をしてくれる役割の部員がいます。
――後日談を見るに行動を共にしたことがわかる4人ですが、その後の展開については考えていますか。
基本は「主人公」を中心に様々なジャンルのお話に巻き込まれに行って化け物を倒していく、というようなお話になったのかなあとぼんやり考えています。
いずれは主人公にもなにか戦う手段が生まれるのかもしれませんね…。
――今後の展望や目標をお教えください。
「私がこういうのを見たい!」という、悲しいセルフ推し活のようなものががモチベーションになって創作活動を続けているので、いずれそんな作品がもっとたくさんの方に楽しんで頂ける形になったら、推し活として成功なのかなあと考えています。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
いつも好きなものを好き勝手に制作しているのですが、多くの方にあたたかく見守って頂いており大変感謝しております。これからものんびり活動していけたらと思いますので、よかったら楽しんで頂けますと幸いです。