コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、奇病を患った少女と怪しい医者の物語を描く『アリアの診療録』をピックアップ。
作者であるSue Lueさんが2021年2月からTwitterにて連載をスタートさせた本作は、続編が公開されるたびに大きな反響を呼び、2023年4月についに単行本化が実現。4月19日に第1話を投稿したツイートには1.4万以上の「いいね」が寄せられ、話題を集めている。この記事ではSue Lueさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
心の傷が“瘴気”となって人々を襲う…先の読めない展開に「引き込まれる」
かつて父親に愛情を注がれて育った少女・アリアは、現在はある理由により父が遺した屋敷で義母と義姉と共に暮らしていた。しかし義母から食事もろくに与えてもらえず、義姉からは嫌味や辛辣な言葉を浴びて、心が傷つけられる日々を過ごす。「どうにかしてお義母様のご機嫌を取らないと」と思うも、アリアはいつからか激しい胸の痛みを感じるようになっていた。
ある日、義姉と部屋にいたアリアが酷く咳き込むと、口から突然どろどろとした黒い液体がこぼれ出す。床に落ちた液体はジュウッと音を立て、次第に瘴気(しょうき)となっていく。その瞬間に倒れ込む義姉。驚いたアリアが部屋を出て助けを求めるも、アリアから発される瘴気を嗅いだメイドたちも続々と毒に冒され、屋敷中の人間が昏睡状態に陥ってしまっていた。
助けを呼ぼうと屋敷を出たアリアは、顔に奇妙なマスクを着けた謎の男と出会う。医者を呼びに行くと言いながら今にも倒れそうなアリアに「ちょうどよかった」と声をかける男。そして次の瞬間、「俺は医者だ」と言いアリアの腹部に剣を刺し…。
心の傷から奇病を患った少女・アリアと、その病を究明しようとする謎の医者が、治療を通してそれぞれの過去と向き合っていく姿を描いた本作。先の読めない展開や魅力的なキャラクターデザインも話題を集め、Twitter上では「ストーリーがとても良い!」「展開めちゃ面白い」「キャラクターがとても魅力的」「1コマ1コマに魅力が詰まってる」「すごく引き込まれる」「神作品みっけ」「(ツイートの)ハート押し足りない!」など読者からのコメントが寄せられ反響を呼んでいる。
目に見えない心の病の“可視化”に反響 作者・Sue Lueさんが語る創作の背景とこだわり
――『アリアの診療録』はどのようにして生まれた作品ですか?
この作品はペスト医師が発案のきっかけとなりました。彼らが現れた当時、病は悪い水や悪い空気が原因と考えられていたという話から着想を得て、架空の病を考えたのが始まりです。
――奇病に罹った少女・アリアと、謎の過去を持つ奇妙なマスクの医者、それぞれのキャラクターはどのようにして生み出されたのでしょうか?
主人公の少女はストーリーを考えている段階で自然と生まれたキャラクターです。また、タイトルにも使用している「アリア」という名は、悪い空気を意味する「mal aria」という言葉が由来となっています。
マスクの医者も同様です。ペスト医師の不気味さを表現するため、当初はもっと見るからに恐ろしい風貌にしていたのですが、キャラクターのコンセプトの中に「父親」という要素も入れたかったので、現在は優しげな顔立ちに変更しています。
――当初SNSで1話ずつ公開されていた頃から単行本発売に至った現在まで、大きな反響が寄せられている本作ですが、読者からの反響についてSue Lueさんの率直なご感想をお聞かせください。
こういった作中で大きな問いかけを発している作品は、受け取り手がいて初めて作品として成立すると感じているので、読んでくださる方がいることを本当に有り難く思っております。
目に見えない心の病を可視化したことに対する感謝のお言葉を頂けたことが特に印象に残っています。
――奇病や迷信などダークファンタジーの世界観も本作の魅力の一つですが、Sue Lueさんが物語の構成や世界観を創っていく上でこだわっている点や意識している点がありましたらお教えください。
制作を通して昇華したい考えや思いが、我として作品に強く出過ぎないようにする、という点を常に意識しています。
――Sue Lueさんが本作に込めた思いや「ここを見てほしい」というポイントがありましたらお教えください。
作中で描いたキャラクターの苦悩のどこかしらに共感し、自分のことのように救いを願っていただけるような作品が描きたいと思っています。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
牛歩更新にもかかわらず読み続けてくださり本当にありがとうございます。必ず描き切りますので、どうか今後もふたりを見守っていただけますと幸いです。