『めざまし8』(毎週月~金曜 朝8時~、フジテレビ系)のメインキャスターなどで知られる“朝の顔”谷原章介。懐の深い言葉選びと柔らかな物腰で、さまざまな番組の司会を任されている。なかでも注目を集めたのは、名優・児玉清からバトンを受け継いだ『パネルクイズ アタック25』(テレビ朝日系)の司会抜擢だった。歴史ある同番組は2021年に地上波での放送を終了したものの、現在はBS放送局「BSJapanext」にて『パネルクイズ アタック25 Next』(毎週日曜 昼1時25分~)と名を改めて放送中。地上波から引き続き司会を務める谷原に、同番組にかける想いを漏らさず聞かせてもらった。
「自分が招いた結果を取り戻せた」歴史ある番組にかける想い
――2015年から約6年間、地上波放送の『アタック25』の司会を務めていた谷原さんですが、BS放送の『アタック25Next』の話を受けたときの心境を聞かせてください。
正直『アタック25』という番組が終わると思っていなかったので、こうして続くと聞いてとても嬉しい気持ちになりました。終了してから『Next』が始まるまでは半年程度しか開いてなかったんですが、「1年とか2年休んだんじゃないか」というくらいの喪失感があったのを覚えています。それくらい、2週間に1度の収録が自分のなかで“当たり前”になっていたので…。
また、地上波で放送を終了するって聞いたときは責任を感じました。「児玉さんから連綿と引き継がれてきた歴史ある番組が、僕のところで途絶えちゃったんだ…」という申し訳なさがあったからこそ、まだ続けられると聞いたときは「自分が招いた結果」を取り戻せたように感じたんです。
――たしかに『アタック25』の終了は大きなニュースでした。
本当ですね…。あのときは『Next』が始まるまでの半年が長かったなぁ…。ただ『アタック25』を昔から好きな人のなかにも、BS放送で番組が続いていることを知らない人はまだ多い印象です。いまも番組を知っている人は、見に来てくださっていると思います。でも、まだ番組を知らない人に「あ、面白そう」と思ってもらえる機会が少ない状況もあるかなと。だからこうした取材を通して、「あの番組まだやってるんだ」「知らない番組だったけど、面白そうだな」と情報を広めてもらえたらいいなと思っています。
――番組への愛が伝わります。「アタックチャンス」や正答であることを告げる言葉が「正解」より「その通り」だったりするのも、伝統を大事にしてのことでしょうか。
「正解」も使いますけども…「そうです」「その通り」「お見事」は児玉さんが作ってきた番組の“型”ですよね。あれはそのまま踏襲させていただいているんです。同じ言葉でも言い方や仕草で「すごいな」という感じを出しつつ、基本は踏襲しています。“アタックチャンス”のポーズも…そのままでも良いんですけども、ちょっと腕を高く掲げてみたりとか。大したことじゃないんですけど(笑)
1時間番組に変わったことで広がった“『アタック25』の可能性”
――『アタック25』の醍醐味といえば、“盛り上がり重視”のバラエティにはない「真剣勝負」だと思います。司会として、谷原さんが気を付けていることはありますか。
公平である、ということです。変なヒントにならないように、かつ誰かを贔屓していると捉えられないように言動をコントロールしています。「谷原はこの人を応援したいんだな」という不公平感が出ないよう、そこだけは気にしています。
出演してくださる人はスタッフさんが面接して試験して、そのなかである程度クイズの技能・技量が近い人を揃えてくださっています。なので出演するメンバーとして選ばれている段階で、実はほとんどバランスが取れているんですよ。
ただ実はここが難しいところで、ときにはあえてバランスを崩したメンバー選定もありえるわけです。その塩梅がかなり難しい。たとえばクイ研(クイズ研究会)の人が1人、ほかが普通の参加者という場合、やっぱりクイ研の人はお強いんです。
もちろん『アタック25』では何十問と問題を出すので、たとえば時事問題・エンタメ・ファッションといったクイズ的な知識だけで解けないジャンルの問題もあります。それでも7~8割はクイズ研究会の人に軍配が上がりやすい性質の問題になってしまう…。なので公平性の担保については司会の技量というより、問題を作成したり出演者を決めるディレクターさん、スタッフさんの力にかかっている部分もあります。
――たしかに独走状態になってしまうのは出演者の力量であって、司会が意図的にコントロールするのは難しいと思います。
たとえば1人が突っ走っている状況になったら、ライバルになりそうな人をちょっと応援する。もちろんヒントを与えるとかではなく、「頑張ってください」「この問題は重要だからね」と鼓舞するくらいです。
あとは、せっかく出演してくださった人に(パネル)1枚は持って帰ってもらいたいという気持ちはあります。なので「今日は答えられなかった」「最後の時点で0枚」という人にはお声がけするといったことは心がけています。
――歴史ある同番組ですが、BS放送の「アタック25 Next」に切り替わったことで生まれた新たな魅力といえばなんでしょうか。
Nextになって数字のクイズや地方をテーマにした「新しいクイズ」が増えているんですが、なかでも「ふるさとクイズ」はとても良いクイズだなと思っています。いろいろな地域の魅力を発信できると同時に、その地域の特産物を皆さんに知ってもらえるという。
僕らも地上波で『アタック25』をやっている時代から「面白いクイズ、新しいクイズはないかな」とみんなでトライしてきていました。ただやっぱり長い歴史の中でクイズは“やりつくした感”があって、なかなか新しいアイデアは出なかったんです。
熟語の漢字をちょっとずつ描いていって、わかったら早押しで答えてもらう…とか。いろいろやっても、どうしてもどこかで見た感じになってしまう。「やっぱりやりつくしちゃったのかな」と思っていたところでしたから、「ふるさとクイズ」は本当に「面白い金の鉱脈を見つけたな」と驚きましたね。
――47年続いていると、やはり問題作りには相当な苦労があるのですね。
番組のベースは読み問題で、『アタック25』として大事にしてきました。それもあって、映像で作る問題はかなり限界を感じていたんです。でもBS放送に移ったことで1時間に放送時間が伸びて、「こういうこともできるようになったんだな」という進化は面白いなと感じました。
放送時間が1時間に伸びたことで新しく試せるだけでなく、参加者さんとの会話も映像として採用していただける機会が増えました。これは番組にとって非常に良い方向の進化だったと考えています。
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