小田井涼平が“特別な宿で至福のひととき”を味わう旅番組「一度は行きたい極上宿 小田井涼平のあい旅」(毎週木曜 夜8:00-9:00、BSJapanext)。7月6日の放送では、佐賀市の中心部から約30分の距離に位置し、2000年以上の歴史があるといわれる“佐賀の奥座敷”古湯温泉へむかった。そこに辿り着くまでのさまざまな出会いを捉えている。
宿に着くまでの穏やかな旅のはじまり
初夏の風が吹く中、最初に訪れたのは、午前中もツーリング客などで賑わう道の駅大和 そよかぜ館。地元でとれた新鮮な野菜や加工品などの特産品を取り扱っている。なかでも小田井の目を引いたのはメダカの数々。ヒレ先を銀色に光らせながら泳ぐ魚体を見つめ、「水温上げてあげるとヒレが伸びるらしいんです」と豆知識を披露した。屋外スペースでは、太陽に輝く新緑に包まれながら、地域の名産である干し柿に舌鼓を打った。
古湯温泉の入口では、大正12年から続く羊羹屋の菓舗やつだ屋でペースト干し柿が練り込まれた羊羹を試食し、バス停のようなつくりの足湯に浸かり、ゆったりとした時間で彩られた贅沢を味わった後、東京からUターンした中島洋志さん・咲希さん夫婦が営む喫茶店orioriに足を運ぶ。店名には「その時々の楽しいものを提案したい」という思いが込められている。
広々とした店内には、古道具と咲希さんがリメイクした洋服が並ぶ。小田井は有田焼のムツゴロウの焼き物や、着物や帯をリメイクした大きな巾着に興味津々の様子。店の「世代を超えた出会いは宝物を増やす」というコンセプトを噛み締めるように、一つ一つのアイテムを手にとり、しげしげと眺めた。
過去と現代が織りなす、くつろぎの時間と空間
この日の宿は、古湯温泉 ONCRI/おんくり。小田井が「まるで劇場」と感嘆したロビーは、和のテイストと、ブラックとブラウンを基調としたモダンなトーンが共存するつくりだ。チェックインまでの時間は、壮大な景色を楽しめるバースペースで、地元のロースターが手掛けた水出しコーヒーと、砂糖でコーティングされた小城羊羹を味わいながら待つ。日常の喧騒を忘れさせる演出に、小田井は満足げな表情を浮かべた。
宿泊する部屋は、1950年頃の日本家屋の客室をイメージした“ノスタルジックジャパン”。モダンとクラシカルな雰囲気が調和した内装で、客室は熊本の天然イグサを使用した畳の懐かしい香りが鼻をくすぐり、アンティークの調度品が目を楽しませる。ベッドのマットレスには、ドイツ製のゲルテックスを使用。小田井は「有名な指揮者がコンダクターをふる時みたいな」優しい寝心地に目を細めた。
古くから湯治場として知られる古湯温泉の泉質はラジウム泉。ONCRI/おんくりの温泉は人肌に近い38度に設定されており、ぬる湯で長時間リラックスできる。小田井は広大な露天風呂の樽湯、うたせ湯、箱蒸し湯などの多種多様な湯船にゆったりと浸かり、日々の疲れを癒した。
古湯といえば、2018年におこなわれた泉質の科学的な検証が有名だ。通常泉質を語るには科学的な成分分析にとどまるパターンが多いものの、同湯のような単純温泉においては「成分が薄い」という結果が出がちだったという。しかし有識者による研究によって、古湯温泉に「血圧抑制」「活性酵素の除去・抑制」「抗酸化能力」があることを証明したのだ。
有馬、草津、下呂と比べてメジャーとはいえないものの、科学的な検証の末に効果が実証されている古湯温泉。メジャーどころに寄りがちな旅番組と違い、よりディープに「極上体験」を追い続ける同番組ならではの目の付け所といえるだろう。
さて、旅を締めくくる夕食は、九州各地から集められた食材が味わえるイノベーティブ・鉄板 ワタハンで。前菜には地元産のアスパラガス、みつせ鶏のせせりをバターで焼き、トリュフをふんだんにあしらった贅沢な一皿が提供された。目の前の鉄板で料理される臨場感と、辛口の白ワインとのマリアージュに満足げな表情を浮かべる小田井。さらにヒラメとハマグリからとられたソースを合わせた一品には、「もう、お手上げです」と満面の笑み。メインである「佐賀牛フィレ」は、皿に添えられた塩やもろみ味噌といった調味料が特徴だ。味にグラデーションを持たせたメインディッシュを、ぎゅっと閉じ込められた肉の旨みとともに堪能した。
沢のせせらぎを聴きながら就寝し、海鮮丼を中心にした豪華な朝食を満喫した小田井は、「全てがゆっくりとした時間の中で過ごさせていただいた」と絶賛。時間の経過と共にコントラストを変える渓谷の自然に目を細め、次の旅へと向かった。
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