テレビ大好きイラストレーター・渡辺裕子さんが、お気に入りの番組をかわいいイラストで紹介する連載「いつもテレビをみています」。第16回は「ヤギと大悟」(毎週金曜夜7:25-、テレビ東京)をチョイス。
ヤギと人間たちが歩いているだけですごく”いい”
「ヤギと大悟」の主役はヤギ。ヤギの「タンポポ」通称「ポポ」がトコトコと歩いていく後ろを、千鳥の大悟さんとゲストがついていく、ただそれだけの番組。歩くスピードは主役のポポ次第。全然動いてくれないのをなだめすかして歩いてもらったり、グイグイ引っ張っていかれたり、突然走り始めて人間も一緒に走ったりと、 ヤギの動きは予想がつかない。道中で、雑草が生えて困っていそうな家に声をかけ、ポポは除草という名の食事。その間に、大悟さんとゲストは出会った人たちとお話をする。……それだけの時間なのに、ヤギと人間たちが歩いているだけで、なんかすごく、「いい」んですよ。
ヤギとの時間は「理想の生活」かも
まず、大悟さんがおもしろい。ぶつぶつポポに話しかけるのを聞いているだけで笑ってしまうし、町の人たちのおもしろさを引き出すトークがうまい。そしてゲストのみなさんも、テレビなどで見せている普段の様子とは違う、ゆったりくつろぎムードで大悟さんとおしゃべりしている。そんなにダラダラした格好を見せて大丈夫かと心配になるくらい、楽しそう。ポポと過ごしてリラックスした故の、ヤギ効果なんでしょうか。
そしてこの番組、ゲストにいろいろさせちゃうところがまたおもしろい。大悟さんが運転免許を持っていないので、ポポを乗せて移動する軽トラを運転するのは、なんと、免許持ちのゲストの役割。普段乗らないであろう軽トラのハンドルを握ったゲストと、助手席の大悟さんとのトークが、笑える話から始まっていつの間にかとても深い話になっていったりする。これもヤギ効果?
ポポのフンの掃除まで、ゲストの仕事なんですよ。画面に映し出されるコロコロとしたフンと、それを箒とちりとりで掃き集めてきれいにする芸能人のみなさん。でもその姿も、なんかいい感じ。
ぶらぶらして、おしゃべりして、楽しくマイペースで仕事して、食事して、食事したから排泄もして、それを片付けて、またぶらぶらする。この番組のヤギとの時間はとても「普通の生活」なんだけど、実はなかなか実現できない「理想の生活」かも。だから見ていてなんだか気持ちいいのかなあ。何よりもヤギのポポがかわいい。そして弟分のヤギ「モロコシ」が、びっくりするくらいかわいい。おもしろいとかわいいをたっぷり浴びてリラックス、ヤギ効果をみなさんもどうぞ。
■イラスト・文/渡辺裕子