2016年の「Produce 101」の成功をきっかけに、一気に加速した韓国でのオーディション・サバイバル番組。その勢いは年々増し、K-POPだけにとどまらず、トロット(韓国の演歌)歌手、ダンサー、バンド、国楽、カラオケ名人など、ジャンルはどんどん拡大中。新たなスターも続々と生まれている。日本でも、多数のオーディション・サバイバル番組がリアルタイムで配信・放送され、人気コンテンツとなっている。最近では、日本で開催されるものも増え、その中で最も成功したと言えるのが、NiziUを生んだ「Nizi Project」。現在、「Season 2」が進行中の同番組の日本におけるヒットについて考えてみる。
オーデション・サバイバル番組が増え続ける理由
2023年になってもオーディション・サバイバル番組の勢いは止まらず、今春は「BOYS PLANET」と「少年ファンタジー」というボーイズグループ結成を目指す番組が同時期に放送されるという“オーディション渋滞”も起きたほど。
このようなスター発掘番組が増える背景として、まず売り出す側からの利点は、デビュー前からプロモーションが仕掛けられる事が挙げられる。番組を通して視聴者は参加者を知り、毎週観る事でその参加者をより深く知っていく事になる。そして、それぞれに「推し」が出来て、デビューの時には既にファンが付いている。番組自体がプロモーションになっているのだ。
新たな「推し」を探している視聴者にとっても、一度に様々な参加者が見られて、その中から選ぶ楽しさがあり、「青田買い」心をくすぐられる。そして、ミッションを重ねるごとに成長していく様子を見守るのは、「育成ゲーム」のような喜びもある。ほとんどの番組が視聴者投票によってデビューメンバーが決まる為、「推し」が選ばれれば「自分がデビューさせた」という気持ちにもなり、さらに応援にも力が入る。
参加者は、事務所所属の練習生、デビュー済みだが思うような活動ができなかったり、今ひとつ人気が得られず現状打破を望む者、アイドルの夢を抱く一般参加者、と様々だが、誰にとっても、番組に出る事で大勢の人々に自分の存在を知らせる事が出来るのは、大きなチャンスとなる。たとえ番組のデビューメンバーに選ばれなくても、ファンが付いたおかげで、別グループを結成したり、他の番組に再挑戦してデビュー出来たり、俳優としてドラマで活躍したり…と、別のカタチで世に出て成功できるパターンも多いのだ。
成功したグループを生んだ番組はシーズンを重ねてブランド化され、「第2、第3の○○」を夢見る参加希望者が途切れる事が無い。それどころか応募者は増える一方で、人数が増えるほど番組のレベルが上がり、逸材が現れる確率も上がる。
このようにどの立場からもメリットが大きい為、オーディション・サバイバル番組は、多少のシステムの違いはあるが次々と立ち上げられていると考えられる。しかし、ここまで多いと、正直、全てが成功しているわけではない。成功の可否は、始まってみないとわからない。参加者も、どの番組に出演するかで大きく運命が変わってしまうだろう。
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