“ガンダム初めて”でも困らない分かりやすさ
さて、そんな『SEED』は、C.E.(コズミック・イラ)と呼ばれる人類が宇宙でも暮らし始めた時代の物語。遺伝子調整で生まれた人類「コーディネイター」と、これまでの人類「ナチュラル」は、軍事組織ザフトと地球連合軍に分かれて戦いを繰り広げていた。この戦争を通じ、コーディネイターである主人公キラ・ヤマト(CV.保志総一朗)と幼馴染みのアスラン・ザラ(CV.石田彰)の苦悩と成長が描かれていく。詳細はそれこそアニメを観てもらいたいところだが、「ガンダム」をオマージュしつつ、前述したように分かりやすくなっているというのは初めての人には安心するポイントだろう。
2つの対立する人類と、それぞれの軍に分かれてしまったキラとアスランの戦いというダブル主人公構図。共にガンダムに乗る、ガンダム対ガンダムという見た目にもキャッチーな絵作り。何より、そのエピソードの中で動く美形ぞろいのキャラクターたちが、アニメに慣れた視聴者層にはフィットするものだった。もちろん、ミリタリー色とリアリティー色が薄れたことで、一部従来ファンからの非難があったことも確かだ。それでも当時、狙い通りに新規若年層を呼び込み、大勢の女性ファンを獲得し、そこから再びガンダムシリーズを盛り上げたのだから、『SEED』の方針は間違っていなかったと言えるだろう。
恋愛要素、友情要素ありのヒューマンドラマ
ちなみに、『ガンダム』と言えばロボットアニメ。そう思っている人は多いはず。それはそれで間違いではないけれど、その前にあるのが、『ガンダム』はヒューマンドラマであるということだ。『ガンダム』は子ども的には「モビルスーツ」という画期的なリアルロボットの活躍、宇宙世紀という近未来のSF世界観がワクワクするポイントだったが、一番の魅力は大学生以上の世代もハマった戦争テーマの大人なストーリー。その中で描かれるキャラクターたちのドラマにあった。
『SEED』もそこは抜かりなく、キャラクターのバックボーンから絡み合うドラマを色濃く描き、そこに恋愛要素や友情要素がSEEDカラーとして塗られている。ちょっと飛躍して例えるなら、ラノベ風ヒューマンドラマというものがここにある。それも昨今の人気ジャンルであるので入門編として良いと思うポイントだ。
とは言え、テレビシリーズを約50話観るのは大変という方には、3部作に再構成された総集編版もいいかもしれない。『SEED』の次には続編の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』があり、2024年1月26日からは完全新作の映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の上映もスタートする。劇場版は、テレビ放送から約20年を経て続編が描かれることになり、アニメ業界では非常に注目されている。これを機にガンダムシリーズに興味を抱いてくれる人が1人でもいるなら、こんなに嬉しいことはない。
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ガンチャン