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演出賞は「CRISIS―」 “驚異の7分30秒”の裏側とは!?

2017/08/10 13:00

アクションシーンがたびたび話題になった「CRISIS―」から演出の鈴木浩介と白木啓一郎が受賞
アクションシーンがたびたび話題になった「CRISIS―」から演出の鈴木浩介と白木啓一郎が受賞 (C)カンテレ

'17年春クールにかけて放送されたドラマを対象に開催した「週刊ザテレビジョン 第93回ドラマアカデミー賞」。最優秀演出賞は、「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」の鈴木浩介と白木啓一郎が受賞した。

「新幹線での格闘や長回しで、ドラマの枠を超えたアクションを見せた」と高い評価を受けた同作。両氏に、緻密な演出と過酷な撮影の裏側を聞いた。

話題になったアクションシーンはどう作られた?


――視聴者や審査員からも、「やはりアクションがすごい!」という意見が多数でした。アクションシーンはどの様に撮影・研究されたのでしょうか

鈴木浩介:まず、金城(一紀)さんの脚本に合った場所をロケハンして探します。そこから、「こういうアクションを入れたい」という意見をアクションチームがテレビ映えするようにアレンジします。ここで、実際にアクションチームが自分たちで同じ動きやカット割りをした想定のビデオコンテを作るんです。そして監督やプロデューサーチェックが終わって初めて役者がそのアクションを見るという段取りになっています。なので、通常のドラマではありえない時間をかけて作られているんです。

白木啓一郎:実は、僕もこのドラマをきっかけにカリシラットという武術を習い始めて、なぜこの攻撃なのか、なぜこの立ち回りで組んでいるのか、というのが分かる様になりました。

――そんなアクションシーンの中で、これまでの作品との違いを感じたのはどんなところですか?

鈴木:実際に役者さんが動いているスピード感をどのように保つか、ということを工夫しました。なので、動きが一連になって見えるようなところは実際に連続して撮っています。普通はアングルを変えるようなところも、あえて変えないで撮影しました。「切り替えてもう一回撮るから」ではなく、ワンカットに命を懸ける集中力が、皆さんすごかったですね。

白木:この作品はアクションが売りであるけれど“サスペンスアクション”であって、単なるアクションドラマではありませんでした。サスペンスストーリーが全体を飽和していて、その一部のエッセンスとしてアクションがあるという考えになっています。これまでは、どうしてもアクションだけが突出してしまう形が多かったですが、今回のようにあくまでストーリーの一部としてアクションをコントロールするというのは新鮮でした。

アクションだけじゃない! 演出のこだわりとは?


――全体を通して、金城さんから演出に対するリクエストはありましたか?

鈴木:クランクインの時から脚本もそろっていたので、撮影前から技術もアクションチームもある程度は予想することができていました。しかも、金城さんのト書きにはすごく細部まで書かれていて、3Pくらいト書きだけだったこともありました。キャストもスタッフもその本をちゃんと読み込んできていたので、間違いなく現場では誰もぶれていませんでしたね。なので、僕ら現場班としては「どういうイメージを持っているんだろう」と金城さんの頭の中に入っていくという作業を一番に考えていました。

白木:「『CRISIS―』はこの世界観でいきましょう」と脚本段階で決まっていました。だからわれわれもその世界観をなるべく具現化しようと努めてきました。1話の冒頭の新幹線のシーンなんて、乗車して何分何秒で稲見が飛び降りた相模川まで着くかとかも、実際に金城さんが自分で乗車して動画に撮ってチェックしていましたからね。こんなに計算されている本は見たことがありませんでした。なので、こちちも「ちゃんとやらなくては!」と気が引き締まりました。

――アクションシーン以外の部分でこだわったところは、どんなところでしたか?

鈴木:せりふが少ない分、表情で見せるところが多かったので、これは音楽のインパクトも必要だと考えました。そこで、澤野(弘之)さんにお願いできたのは大きかったと思います。表情で見せて、そこに音楽をぶつけて感情をあてていくことができました。彼の音楽でなかったらまた違っていたと思います。

白木:僕が演出した回はバックショットを多くいれています。表情が見えないことで、視聴者の方にいろいろな想像をしてほしかったんです。この人はどう考えているんだろう、この人は恐らくこういう人だな、という具合に。そうすることによって特捜班メンバーや登場人物の心情がより深く印象的になると考えました。

下に続きます

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  • アクションシーンがたびたび話題になった「CRISIS―」から演出の鈴木浩介と白木啓一郎が受賞
  • 【写真を見る】鈴木は「『WEBではなく、テレビもまだ面白いんだ』と勇気を与えられたんじゃないかな」と語った

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