刺激的な”不倫”の和歌に櫻坂46・遠藤理子もタジタジ…作家・佐々木良が語る万葉集の魅力<最強の時間割>
恋に貴賎はないことを示す天皇の歌とは?
万葉集には純愛だけではなく不倫の歌も多くあり、その一つが「紅の/深染めの衣を/下に着ば/人の見らくに/にほひ出でむかも」というもの。男性が不倫相手の女性に送ったこの歌を佐々木は「そんなスケスケのやらしい下着つけてたら/わてらの不倫がバレるやん」と訳している。深いのはその背景。当時は植物で衣類を染めていたことから、その香りで周囲に自分たちの関係がバレてしまうかもしれないと焦る男性の気持ちが綴られている。
身分が高い人の不倫の歌「人言を/繁み言痛み/おのが世に/いまだ渡らぬ/朝川渡る(訳:みんなに噂されるのマジ無理なんで/不倫するのはこっそり明け方/それじゃいってきまーす!)」など、あまりに刺激的な不倫の歌に遠藤理子(櫻坂46)も思わずタジタジ。しかし、当時は結婚年齢が早く遠藤と変わらない10代の若者が書いた和歌も多くあるという。寿命が短く、死が身近にあったことも不倫が横行していた理由の一つと佐々木は考えている。
また、万葉集は様々な身分の人が詠んだ歌が収められているのも特徴。例えば、「籠もよ/ み籠持ち/ふくしもよ/みぶくし持ち」で始まる最初の歌は雄略天皇が詠んだもので、ナンパの歌とも解釈できるそうだ。身分の差はあれど、恋に貴賎はない。天皇の歌を最初に持ってきたのは、「民間人と天皇の近さを示すためではないか」と佐々木は考察した。
645年に中大兄皇子と大化の改新を行った藤原鎌足の歌も。「我れはもや/安見児得たり/皆人の/得かてにすいとふ/安見児得たり」という歌に出てくる“安見児”は天皇のもとで働いていた女性。当時、天皇以外の人と結婚できなかった彼女にアタックしていた鎌足の燃え上がる恋が綴られた歌の現代語訳にサーヤたちが挑戦した。
それぞれの感性に基づく訳が飛び出す中、「安見児誰のもーん?俺のもーん!」という現役ギャル・あおぽんの訳や、サーヤの「【速報】やすみこイケたンゴwwww」という5ちゃんねらー的訳が異彩を放つ。
そんな風に意味が分からなくても分からないなりに訳すのが大事だという佐々木。番組恒例の質問「カッコいい大人とは?」という質問に「分からないことを分からないと言える大人」と回答し、番組を締め括った。
■文/苫とり子