かざりというものの存在証明
「かざり」として作品を発表することを決めたのは、SNSの「なりすまし」がきっかけだったという。
「なりすましで写真と文章が勝手に拡散されていた。自分を証明には、自分の手で線をひき、絵を描かないといけない。今はネットと現実の世界が混じり合っている状態。現実の世界でアナログで描いていくことをやらないと。(作品が)かざりというものの存在証明にもなっている」と思いを打ち明けた。
日本画、油絵…枠組みに収まらないかざりの世界
かざりの作品は、パソコン上で描いたイラストを印刷し、その上に絵の具やペンで線を引き、その上からレジンをかけて固め、さらにその上から線や点を描き、密度を上げていっているという。「レイヤー上に重ねていく手法で、いろんな素材をミックスさせている。日本画、油絵などのジャンルのあるアートではない」という、かざり独特の世界を作り上げた。
レジンはアクセサリーなどにも使われている透明の樹脂で、「透明な物が好きなので、キャンパスの中に透明を閉じ込めたい」という思いを込めていると話す。
また、緑色の作品が多いことについては、「私が三重県菰野町の出身で、自然豊かな地域、山の近くで育ったので、緑というものが近くにあった。緑が好きだからというより、心地いい色を使っていたら緑が多くなった」とのこと。
今回展示されているのは約20点で、ほとんどが初公開。一番大きなサイズの作品となる地元・三重県のみえ県展で入選した「光をたどる」は、構想から完成まで1年を費やしたそう。レジンは乾くのに時間がかかるため、小さな作品でも制作期間は1カ月以上はかかると明かした。