コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“友人に誘われて怪しいセミナーの勧誘を受ける話”を描いた漫画『友達から7年ぶりに連絡が来た話』をピックアップ。
作者である漫画家のなかもとゆうりさんが、2023月12月17日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ、2万件を超える「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事ではなかもとゆうりさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
久々に再会した中高時代の同級生と食事に行くはずが…
ある日、中高時代の同級生・みっちゃんから7年ぶりに連絡がきて、久しぶりにご飯に行くことになった主人公。7年経っても連絡をくれたことに嬉しさを感じつつ、みっちゃんと楽しいひと時を過ごす。
そして主人公は、SE(システムエンジニア)でフリーランスを目指すみっちゃんから“最近副業を始めた”と伝えられる。ちょうどその頃、世間では“老後2000万円問題”が話題になっており、みっちゃんも会社での収入だけではキツイと感じていたようだ。
みっちゃんは「実は今日見せたいものがあるの!」と主人公にスマホの画面を見せる。そこには英語で、“香港の投資信託の取引レポート”が表示されていた。その日はみっちゃんの投資話を聞いて解散となったが、主人公自身もキャリアと将来の話ができて楽しかったため、翌週彼女と回転寿司に行く約束をした。
すると約束前日に、みっちゃんから1本の連絡が。それは“寿司の前にキャリアアドバイザーと相談するから来る?”というものだった。特に予定がなかった主人公は当日みっちゃんに付いて行くと、タワマンの一室に到着。銀ブチめがねに黒の柄シャツ、紺のストライプスーツを着た男性を紹介される。そしてみっちゃんの相談に付いてきたつもりの主人公だったが、いつの間にか男性に相談に乗ってもらうことになる。
実はそこはみっちゃんのキャリア相談などではなく、“投資の会員制セミナー”を紹介される場だったのだ。年会費18万円かかるが、友達を一人紹介するごとに3万円戻って来る、という仕組を説明される主人公。
“これってもしかしてマルチなんじゃないか…?”と疑っていると、先週みっちゃんが見せてくれた“香港の投資信託”の話を男性がし始めたことで疑いが確信に変わる。その後も終わることのない勧誘に、主人公はただ悲しくなるのだった――。
その後みっちゃんと予定通り寿司に行った主人公は、言葉に迷いながらも「みっちゃんはどうしてこれに入ろうと思ったの?」と聞いてみる。するとみっちゃんは「私頭良くないし、お金払って人からお金を稼ぐ方法習う方が早いなって」と答えた。
それを聞いた主人公は、次々と質問が頭に思い浮かんだものの、“根が真面目なみっちゃんがたくさん悩んで決めたことを否定するのは違う”と思い、結局色々言いたいことをぐっと堪えるのだった――。
本作を読んだ人からは、「私も同じ経験ある…」「好きな友人に同じことされて辛かったのを思い出した」「ただただ悲しくなるよね…」と、似た経験をしたという共感コメントが寄せられている。また、「みっちゃんに騙す気はなさそうなのが余計辛いね」「みっちゃんにマルチ辞めてもらいたい…」など、みっちゃんを心配する声も見られた。
作画の際には「読者の読みやすさと視線誘導に気をつけています」
――『友達から7年ぶりに連絡が来た話』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
これよりも前に投稿した『裁判員候補者に選ばれた話』でフォロワーが一気に増え、がっかりされたくなくてこの話を描きました。飲み会で話して毎回盛り上がる話だったので、これなら楽しんでもらえるのでは…と思いました。
――本作では、“キャリアの話”からどんどん内容が違うものに変わっていく様子が非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
金融商品の仕組みの説明を知らない人にもわかるよう心がけました。当時のメモが残っていたため、漫画にするにあたって相違がなかったかは見直しながら作成しています。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
美ギャルになったみっちゃんの登場シーンです。ずっと“へのへのもへじ”の自画像ばかり描いていたので、可愛い女の子が描けてたのしかったです。また、みっちゃんの上司?のお兄さんの胡散臭さも描いてて楽しかったです。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
日頃モヤモヤしたことや憤り、悲しかったことを種に色んな脚色を加えてマンガにすることが多いです。友人や知人の話を聞いて、印象に残ったエピソードを使わせてもらうこともあります。
――なかもとゆうりさんの作品は、とてもテンポが良くて読みやすく、リアリティかつ共感性があるエピソードもとても面白かったです。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
どちらの漫画も読者の読みやすさと視線誘導(引きなど)に気をつけています。連載中の漫画もスマホで読まれることが多く、コマ数や文字数をなるべく減らすことが大切です。また、エッセイ漫画はさらにコマ数が限られるのでより、無駄なくテンポ良くを心がけています。
――今後の展望や目標をお教えください。
今まで重たいストーリーを考えることが多かったので、今後は表現の幅を広げていきたいです。まだまだ描いた経験がないこと、描ける自信がないこと、多々ありますが一つずつ丁寧に取り組んでいきます。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
頻繁に更新できていなくてすみません。SNS、商業共により良い漫画を発表できるよう頑張ります!