コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、ミステリーボニータで『リストルージュ』を連載している灯晴ほくさんが描く『推しのバーチャルアイドルが死んだはずだったのに、また動画投稿を始めた話』をピックアップ。
2024年5月17日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、2.2万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、灯晴ほくさんにインタビューを行い、創作のきっかけや作品へのこだわりについて語ってもらった。
死んだと噂された“推し”が動画配信を再開した…これは誰だ
主人公・皆内の推しであるバーチャルアイドル・夢野アミ。最近、動画の更新がないなと思っていた矢先、SNSで“死んだ”という噂が流れてきた。アミはバーチャルな存在であるため、死んだというのは“中の人”のことだ。
嘘か本当か確認しようもないまま落ち込む皆内だったが、ある日、バイト中のコンビニでアミの声によく似た客と出会う。一瞬“まさか本人では”とも思ったが考えすぎだった。しかし、アミのグッズを持っていて、ファンだということがわかった。推しのファンに会えたことを嬉しく思う皆内。バイト終わりにスマホを確認すると、なんとずっと更新されていなかったアミのチャンネルで生放送が行われていた。どういうことだ?声が少しだけ違う気がする…これは誰?
“アミちゃんが死んだのは嘘だったのかもしれない”そう思う一方で、モヤモヤは晴れることなく、その後も更新され続ける動画は再生できずにいた。もしも“新しいアミちゃん”になったのだとしたら、真実を知りたい。そう思った皆内は行動に出る。まずは、運営事務所へ問い合わせてみたが返信がなかったため、事務所へ足を運んでみることにした。すると、事務所には“アミの声に似たあの子”がいて、皆内は思わず声をかけたが、彼女は驚いた様子でその場を去っていった。
後日、皆内のバイト先に現れた彼女は、衝撃の事実を口にする。
「夢野アミは…私の姉なの」
そして、皆内がずっと知りたいと思っていた真実を語り出した――。
本作は、バーチャルキャラクターの“中”と“外”という切り離せない部分をテーマにした作品だ。漫画を読んだ読者からは、「主人公に感情移入しまくり」「ちょっと心のなかで泣いたわ」などの声が寄せられ、作品に込められたテーマに考えさせられる人が続出した。
作者・灯晴ほくさん「vtuberというのは一筋縄では行かない不思議な存在」
――『推しのバーチャルアイドルが死んだはずだったのに、また動画投稿を始めた話』を創作したきっかけや理由などをお教えください。
この作品は2020年に描いたものなのですが、当時vtuberが一番盛り上っていた頃で様々な問題がで始めてきた頃でした。様々な問題というのは中の人が変わったりした問題で....自分が見ていたvtuberさんの中が変わってしまったというのがありました。
私にとってvtuberとはバーチャルの別次元に生きるキャラクターという存在....。(たとえばテーマパークの着ぐるみの中のことは考えないと思うんですが、そういうキャラクターという存在と思ってました。)
でも中の人がどうこうと言う話が出てきて、(着ぐるみの中の人が変われば、そのキャラクターが変わってしまう事がわかって)vtuberというのは一筋縄では行かない不思議な存在だと言うことに気づき、この物語を描くことにしました。
――バーチャルアイドル・夢野アミは、アイドルらしいキラキラとした衣装とヴィジュアルでとても可愛らしかったです。デザインする上で、特にこだわったところやお気に入りのポイントなどをお教えください。
ありがとうございます!
夢野アミは悪魔界のプリンセスをテーマにしているのでツノを生やしたり王冠を身につけたりしています。ドレスはvtuberのアイドルっぽくしたかったのでドレスよりもアイドル衣装っぽい感じにデザインしました!お気に入りはやっぱりツノです。
――近年はVtuberや二次元アイドルなど、多くのバーチャルキャラクターが活躍しています。そんな中で今回のお話は、推しのキャラクターがいる人たちにとって考えさせられるテーマだったと思います。人や状況によって答えは違うと思いますが、灯晴ほくさんは推しキャラクターの中の人が変わってしまうとしたら、どのように感じますか?
vtuberが流行り出した最初の方は、まだ中の人よりも外のキャラクターの方が強かった感じがあったので...変わるのを受け入れられたかもしれないです。でも今はvtuberは中と外があってそのキャラを形成すると考えているので...中の人が変われば、もうそれば別の人物になるのかなと思います。
――X(旧Twitter)の投稿には、多くの“いいね”やコメントが寄せられていました。今回の反響をどのように感じていらっしゃいますか。
この漫画は実は4年前にも投稿し、その時も反響をいただきました。それこそ中の人問題が出始めた時だったので共感してくださる方、主人公と同じように考える方が多かった気がします。“キャラクターの存在があって中の人が居たはずなのに”みたいな......
それで今回4年が経って投稿したのですが、vtuberというものに対する価値観や考え方が(中の人がいるからvtuberがある、配信者みたいなもの?)に変わっているかなと思っていたので、読んだ感じ方が違うかなと、反響はないかもしれないと思いました。
でもこのように反響をいただき驚いています。vtuberはキャラクターでも配信者でも無い。“vtuberという存在”だと再確認しました。これからもずっと生きていくんだと思います。
――最後に、読者やファンの方へメッセージをお願いします。
読んでくださりありがとうございます!
夢野アミは実はこの世界でどこかで生きています....秘密ですが...笑
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