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「ブラックパンサー」“女スパイ”役で注目浴びたルピタ・ニョンゴの軌跡 “オスカー”獲得経験も 新作はサバイバル・ホラー

2024/07/04 07:10

ルピタ・ニョンゴ
ルピタ・ニョンゴ写真:REX/アフロ

突如出現した“音”を立てるもの全てに襲いかかる“何か”に支配され、崩壊した世界を舞台に、“沈黙”を守り生存を試みる家族の姿を描いたサバイバル・ホラーシリーズ「クワイエット・プレイス」。その最新作となる映画「クワイエット・プレイス:DAY1」が6月28日に公開された。同作は2018年にシリーズ第1作「クワイエット・プレイス」が公開され、2021年には続編「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」も公開。監督・脚本・製作を公開中の映画「ブルー きみは大丈夫」のジョン・クラシンスキーが手掛けた。最新作にもクラシンスキーはプロデューサーに名を連ね、今回の監督・脚本はマイケル・サルノスキが務めている。一つの家族を襲った衝撃の出来事の471日前、物語は世界が沈黙した日“DAY 1”へと遡る。これまでは田舎町が舞台だったが、世界有数の“騒がしい”大都会アメリカ・ニューヨークが舞台ということで、これまでの作品とは違った恐怖と絶望が襲いかかる。そんな今作の主演を務めるのは、「ブラックパンサー」シリーズなどでおなじみのルピタ・ニョンゴ。作品の劇場公開を記念して、ニョンゴのこれまでのキャリアを振り返ってみたいと思う。

“ロミジュリ”ジュリエット役で舞台デビュー


ニョンゴは1983年3月1日、メキシコで生まれた。父母共にケニア人で、ニョンゴは6人きょうだいの2番目。父親はケニア政府の元大臣も務めた大学教授で、生まれて間もなくケニアのナイロビ大学に勤めることになり、家族でケニアに移った。幼い頃から演劇を見て育ったということもあり、演技への興味を持ち、14歳の時に舞台「ロミオとジュリエット」のジュリエット役で舞台デビューを果たす。

米国のハンプシャー大学で映画と演劇の学位を取得し、スパイ小説の大家ジョン・ル・カレの小説を原作にフェルナンド・メイレレス監督が映像化した「ナイロビの蜂」(2005年)やジュンパ・ラヒリのベストセラー小説を映画化した「その名にちなんで」(2007年)に製作スタッフとして参加している。のちに、演劇をより深く学ぶためにイェール大学の大学院イェール・スクール・オブ・ドラマに入るなど、興味のあるものはとことん追究するタイプということが分かる。

2009年には、ケニアのアルビノの治療についてのドキュメンタリー映画「In My Genes」の監督・脚本・製作を担当しており、役者だけでなく、映画作り全般に興味があり、その才能を早くから生かしていた。さらに、ミュージックビデオの監督を務めたことも。

そしてニョンゴの長編映画初出演作が映画「それでも夜は明ける」だった。2013年に公開された同作は、1853年に発表されたソロモン・ノーサップによる回想録「Twelve Years a Slave」を原作にした作品で、ニョンゴはプランテーションで労働する奴隷パッツィー役で出演。この作品には「ドクター・ストレンジ」シリーズのベネディクト・カンバーバッチも出演している。作品の評価が高く、ゴールデングローブ賞とアカデミー賞で作品賞を受賞。ニョンゴもアカデミー賞で助演女優賞を受賞したほか、英国アカデミー賞で助演女優賞にノミネートされるなど、個人としても高い評価を得ている。

2014年公開の「フライト・ゲーム」では、客室乗務員のグウェンを演じ、リーアム・ニーソンやジュリアン・ムーアと共演。2015年公開の「スター・ウォーズ/フォースの覚醒(エピソード7)」、2017年公開の「スター・ウォーズ/最後のジェダイ(エピソード8)」、2019年公開の「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(エピソード9)」にマズ・カナタ役で出演している。シワだらけの酒場の女性主人で、キャラクターはCGで作られたものなのでニョンゴが演じていることに気付きにくいかもしれないが、重要なキャラだ。それを託されたのは信頼と期待があったからだろう。

※画像はルピタ・ニョンゴのオフィシャルInstagram(lupitanyongo)より
※画像はルピタ・ニョンゴのオフィシャルInstagram(lupitanyongo)より

オスカーノミネートも話題に「ブラックパンサー」


2018年には、スーパーヒーロー映画として初のアカデミー賞作品賞にノミネートされた「ブラックパンサー」(ディズニープラスで配信中)に出演。同作はMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)初の黒人スーパーヒーローによる単独映画として大ヒットを記録し、ニョンゴは元恋人であり幼なじみの主人公ティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマンさん)を支える女スパイ・ナキア役で注目度もさらに上昇した。2022年に公開された続編「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」にもナキア役で続投し、いろんな作品への出演経験を生かして、前作以上に存在感のある演技を見せた。

その他、2019年には「ゲット・アウト」でアカデミー賞の脚本賞を受賞したジョーダン・ピールが監督・脚本・制作を手掛けたホラー映画「アス」の主演を務め、一人二役にチャレンジ。同じく2020年公開の「リトル・モンスターズ」でもアレクサンダー・イングランドと共に主演を務めるなど、重要な役に起用されることが増えていった。

2022年公開のスパイ映画「355」ではペネロペ・クルス、ジェシカ・チャステイン、ファン・ビンビン、ダイアン・クルーガーらと共演し、サイバーインテリジェンス専門のハッキング技術を生かした役を演じた。

そして、公開されたばかりの「クワイエット・プレイス:DAY1」も既に大きな話題になっており、ニョンゴは俳優としてますます大きく飛躍しそうだ。

◆文=田中隆信

※画像はルピタ・ニョンゴのオフィシャルInstagram(lupitanyongo)より
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