石井岳龍監督「いつか必ず撮りたかった」
石井監督も「製作しないという選択肢はなくて、いつか必ず撮りたかった」と情熱は消えなかったそうで「安部公房さんからは『娯楽作にしてほしい』と言われた。『箱男』は安部さんにとって非常に重要なテーマが描かれている貴重な作品。50年前の小説だけれど、まさに今の世の中に通じるものがある。情報化社会が進んで一人一台スマホを持ち、コロナ後は一人一人が家に籠った。一人一人が見えない箱に入ってしまった、そんな現代を予見している物語」と、時代を経たことでテーマが一層炙り出されたと確信していた。
浅野忠信&白本彩奈は出演の喜びを語る
“わたし”の宿敵となるニセ医者を演じた浅野は「27年前の出来事は聞いていたので『このタイミングで!?』とビックリしました。でも、この人たちならばやってくれるだろうという安心感で、最初から目の前に完璧なものが用意されている気がした」と全幅の信頼。
石井監督作「五条霊戦記 GOJOE」「ELECTRIC DRAGON80000V」でも永瀬の宿敵を演じており「永瀬さんの宿敵ばかりをやっていますが…でも、出演できて本当に幸せです」と笑顔を見せた。
ニセ医者が開く安部医院で看護師を務める葉子役の白本は、オーディション合格の瞬間を聞かれて「絵にかいたようなガッツポーズと雄叫びをあげました。受かった実感が湧いてきて、痺れるようなうれしさがこみあげてきた」と喜びを爆発させたという。
石井監督は「白本さんの役に対する解釈には説得力があり、なおかつ堂々としていた。この人ならば日本映画界を代表する猛獣たちとうまくやっていけるのではないかと。こちらの期待以上の存在を示してくれました」と絶賛だった。
最後に主演の永瀬は「今日のことがうれし過ぎて2日前から知恵熱が出てしまいました。でも、皆さんに作品を楽しんでもらえたらうれしいです。いろいろなものが詰め込まれた渾身の一作。水分をとりながら見てください」とアピール。
浅野は「皆さんがどのようにこの作品を受け止めてくれるのか気になるので、SNSに感想を書いてください。それをのぞかせてもらいます」とエゴサを予告する。
白本は「27年越しに描ける今だからこそ、27年前とは違ったものが見えるし伝えられるはず」と期待し、佐藤も「まさに感じ方は十人十色の映画。各々の感想があると思うので、それを知りたいです」と興味津々。
石井監督は「僕は映画館でしかできない体験する映画が大好きです。この映画を通して皆さんにも箱男になってもらい、迷宮の闇の奥に誘われるような冒険をしてほしい。分からないところもあるかもしれないけれど、難しく考えずにすてきな俳優さん方が皆さんをしっかりと導いてくれるので、そこに身をゆだねて体験してください」と呼び掛けていた。