チャウヌ、超満員のKアリーナ横浜でのアンコール公演レポート「今日のすべての瞬間を頭と目に刻みつけます!」
ASTROメドレーで一気にヒートアップ
続くVTRでは、白衣姿のウヌが「97330回の実験の末、[Mystery Elevator]の発明に成功した」と得意気に語り、エレベーターの紹介が始まった。ちなみに、「97330」という数字は、彼の誕生日と同じだ。ウヌがぬいぐるみに囲まれている階、また、オトナな雰囲気の彼がワインをたしなんでいる階など、年齢もシチュエーションも様々な階に到着するが、どれも彼の望む階ではないようで、乗って降りて…を繰り返す。
そして、彼が「次はどこへ行こうか?」とカメラ目線で言うと、ステージが真っ赤に染まりサイレンが鳴り始めた。どうやら[Mystery Elevator]にエラーが起きたようだ。
エレベーターが止まり、ステージに現れた彼は、韓国の女性シンガー・イ・ヒョリの楽曲「10 Minutes」をダンサーを従えてしなやかに踊りながらカバー。続けて流れてきたイントロはASTROの「Crazy Sexy Cool」。歓声が起こり、大きな掛け声もかかる。そして、「knock」「Candy Sugar Pop」とASTROのナンバーが続き、会場のボルテージが一気に上がる。ウヌも手拍子を煽って、何度も「面白いですかー?」と尋ねる。
「叫べ―っ!!」。歓声でKアリーナが揺れる。どの曲もメンバーの歌声が入ったままで、遠く離れていても心は共にある事を改めて感じさせた。
「Again」まで歌い終わって、肩で息をするウヌ。登場してからノンストップで踊り続けていた彼は、自分でも「シャワーを浴びたみたい」と言うほど汗でビッショリ。しばらくして呼吸が整った彼は、このメドレーは彼が好きなASTROの楽曲で構成したと説明。そして、彼らの日本デビュー曲「花咲ケミライ」も披露した。
MCで、観客に何度も「楽しんでますか?」「面白い?」と尋ね、大きなリアクションが返ってくると、「うん。いいですね」と頷く。そんな光景が幾度となく見られた。「公演が終わった後、今日は楽しかったな、幸せだったな、と思ってほしい」という彼の想いの表れだ。
そして、「どんどん盛り上がってるけど、もう少し盛り上がろうか」と、彼の主演ドラマ「ワンダフルデイズ」のOST「嫉妬」を。下手の端まで行き、ステージのヘリに腰かけて、ファンに近づいて歌う姿が印象的だった。
YOASOBIの「たぶん」を日本語でカバー
[Mystery Elevator]で再び移動した後、全身白のスーツで登場した彼は、イスに座ってYOASOBIの「たぶん」を。せつない失恋の心情を、正確な日本語の発音で、美しいファルセットボイスを交えて情感たっぷりに表現した彼は、「この曲、いいでしょ?」と観客に尋ねた。そして、次回また日本で公演する時には、新たな日本語のカバー曲を披露する事を約束してくれた。
[Mystery Elevator]ツアーの最後の到着階は「星座の倉庫」
リラックスした良い雰囲気を保ったまま、[Mystery Elevator]ツアーは最後の階へ。到着したのは本日の公演日と同じ数字の630階。かなりの高層階なので、気圧で耳が痛くないか、と尋ねるウヌ。観客もこの世界観に乗っかり、口々に「痛ぁーい!」と訴える(笑)。ウヌも耳が痛い、と言って笑った。
ここは、彼が作った星座が保管されている「星座の倉庫」。彼は、今日はどんな星座を作ろうか悩み、「この会場は、ボクにとって意味があるし、来てくれた皆さんへ感謝の気持ちもとてつもなく大きいです。だから、そんな気持ちを込めた星座を作る事にします」と言って、星を描き始めた。
ウヌが作った星座の意味は…?
星座を作っている彼を静かに見守る会場に向かって、「正直、今、退屈でしょ(笑)?でも、完成した物を見たら、スゴく満足できると思いますよ」と言いながら、淡々と描き続けるウヌ。「ここは横浜?3月(の公演)は埼玉?」などと話しながら完成させていく。そして、“M”と“A”の形の星座を見せて、「どんな意味かわかる?難しいでしょ?」とニヤッと笑った後、「YOKOHA“MA”、SAITA“MA”」と説明。会場は大爆笑だ。
「この星座を夜空に上げるには、みなさんの声が必要」との事で、彼と観客が声を合わせて「いち、に、さん!」と大声で叫ぶと、“M”と“A”の星座が、夜空を模した大きなLEDに浮かんだ。会場の「おぉーっ」というどよめきに、「最先端の技術」と得意気なウヌ(笑)。元々あった星座も、彼が各地で公演をしながら今日のようにその場で作ったもので、公演が行われるごとに新たな星座が追加されているんだそう。
星座について説明した後、「このようにして、本日の[Mystery Elevator]ツアーは終わりを迎えました」と、突然終了を告げる彼に、「えぇぇーっ!?」と、まだまだ終わりたくない想いをぶつけるAROHAたち。「ダメ?」と問いかける彼に「ダメーッ!」とアピール。そんな彼女たちを、彼は「まだちょっとアンコールがありますよ」と笑わせ、空気をなごませる。
そして、改めて「今日、幸せだった?面白かった?」と尋ね、大きなリアクションを受け取った彼は「ボクも。こちらこそありがとうございます!」と、日本語で感謝を述べた。
宇多田ヒカルの「First Love」も披露
「心を込めて歌って、最後のご挨拶をしたいと思います。今までチャウヌでした!」と大きな声で挨拶した後、歌い始めたのは宇多田ヒカルの「First Love」。最初、目を閉じて歌の世界観に集中していた彼は、サビでは会場を見渡しながら想いを込めて歌い上げた。
鳴りやまない拍手の中、本編ラストソングとなる「You're the best」が始まった。「愛という言葉でしかキミを表現できない」という愛と優しさが溢れた歌だ。ステージの端から端までゆっくりと歩き、ファンと目を合わせながら「僕の手をとって、世界中どこでも僕と一緒に行こう」と歌うウヌ。「花道があったら良かったのに…」と、ファンともっと近づきたい気持ちを表わした後、「まだ終わらない!」と言って、本編が終了した。
「みなさんのおかげで、有意義な1日でした」
アンコールで、ツアーTシャツにシーンズ姿で登場したウヌは、ASTROの「first love」を幸せな雰囲気たっぷりで歌った。彼は、この歌を歌うと気分が良くなるそうだ。
「みなさんのおかげで、有意義な1日でした。アンコール公演ができる事じたい、みなさんの熱い応援があったからじゃないですか」と感謝を述べたウヌは、「もっとカッコよくて楽しい公演で、またみなさんに会いに来ます!」と、次回の公演を期待させた。
3階まで超満員の観客と記念撮影をしようとした時、ステージのスクリーンに、彼のこれまでの軌跡を追った映像とファンからのメッセージが流れた。それをじっと見入るウヌ。そして映像のBGMとして流れていた「You're the best」に合わせて誰からともなく歌い出し、気が付けば会場中の大合唱となり、彼をさらに感激させた。
サプライズ映像が終わり、彼が会場の方を向くと、観客全員が「ウヌの存在が私たちの力」と韓国語で書かれたスローガンを掲げていた。それを見て「ホントですか?ボクの存在が力ですか?」と彼が会場に問うと、今日イチぐらいの大きさの「ネー!(※韓国語で「はい」)」が返ってきた。笑顔全開で「カワイイね」と言った彼は、「だったら、もう少し一生懸命存在してみようと思います」と告げて、会場を沸かせていた。
「明日は、もっと幸せならいいですね」
ダンサーも交えて客席をバックに記念撮影をした後、「みなさんのおかげで、今日はとても幸せでした。明日はもっと幸せならいいですね。最後まで楽しく!(日本語で)大好きでーす!」とコメントして、遂に本当にラストソングに。最後は、彼が出演し、俳優として世界的にブレイクするきっかけとなった大ヒットドラマ「女神降臨」のOST「Love so Fine」で締めくくった。
歌い終わってもステージを去りがたい彼は、上手から下手まで歩きながら丁寧にファンサービス。「後ろの人もありがとうございます!2階も3階も!」と、遠くて寂しい想いをしているファンも気遣った。ささいな事かもしれないが、こんな心遣いがファンにとってはスゴく嬉しいのだ。「気を付けて帰ってね!」と最後に言い残して、名残惜しそうにウヌは去り、約2時間の公演が終了。誰もが幸せで楽しい思い出となった公演となった。
◆取材・文=鳥居美保