コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、「ゲーセンでよく見かける同じ機種やってるあの子」を紹介する。作者の茜りうさんが、7月9日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、3.6万件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、茜りうさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
当たり前は当たり前じゃないんだ…
とあるゲームセンターの音楽ゲームをプレイしているのは、ツインテールが特徴的な女の子。その後ろでは、スーツの女性が順番待ちの椅子に座って、自分の番が来るのを「スン…」とした表情で待っている。表情が変わらない女性だったが、順番待ちをするときは女の子のプレーをいつも心の中で応援し、自分のことのように一喜一憂していた。
夜は大体、女の子と女性が二人で交代しながらこの機種をプレイするのが日課。お互いに話しかけたりはしないものの、スーツの女性が女の子にしていたように、女の子もまた、スーツの女性のゲームの結果を見て一喜一憂していた。
そんな関係が数年続いていたある時、ゲームセンターに閉店のお知らせが張り出されてしまう。「当たり前にあるのって、当たり前じゃないんだ」と慣れ親しんだゲームセンターで、いつも通りゲームをした閉店当日。寂しさを覚えながらゲームセンターを後にしようとすると、女性の背後から「あのっ」と声がして…。
この漫画を読んだ人たちからは、「わかりみが深すぎる…!」「心地いい空気感」「閉店するゲーセン増えてるよね寂しい」「行きつけのゲーセンあると顔見知りできるよね」「よく対戦してたあの人元気かな…」など、多くのコメントが寄せられている。
「好きな場所」がなくなってしまったことがきっかけで描かれた本作
――『ゲーセンでよく見かける同じ機種やってるあの子』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
私自身、音楽ゲームをするのが趣味で昔はほぼ毎日ゲームセンターに通っていました。しかし、新型コロナの影響で通っていたゲームセンターが閉店してしまい、その時は絶望に近い感じを味わいました。(大袈裟かもしれませんが…その時は本当にショックでした。)好きなゲーム機が古くなりメンテナンスもどうにもいかなくなり撤去という事もあったりして…。「好きな場所」がなくなってしまったことがきっかけです。私が通っていたゲームセンターも常連達がいて、話したりはしないけどチラッとプレイを見て「すげー!」と興奮したりしたことを思い出しながら描きました。
――勇気を振り絞って“あの子”にSNSをやっているか聞く姿が非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
ゲームセンターが閉店した事で、共に戦ってきた(?)同士ともう今後会う事はなくなる…なんだか寂しくて、漫画ではそこで終わって欲しくないなと思いました。この漫画を投稿した際、「〇〇(ゲーム名)やってた人…元気かな?今もどこかでゲームしてるかな」という声が多かったです。そして、ゲームをプレイしてる人を見た時に熱くなる感じ…ゲーマーのあるあるにも注目していただけたら嬉しいです。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
スーツの女性のセリフ「当たり前にあるのって当たり前じゃないんだ」。ずっとあった「好きな場所」ってずっとあるわけじゃないんだと、身をもって体験したからです。漫画を読み返すと胸がキュッとなります。今あるゲームセンターにできるだけ通って、大事にしていきたいと思ってます。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
私自身が体験した事や、同じ趣味の人の話を聞いたりするとアイデアが浮かびます。話す事は苦手ではありますが、やはり会話は大事だなと思ってます。何気なく話した会話から急にアイデアが湧いてきた!というのはよくあります。あとは音楽です。音楽を聴きながらウォーキングをすると浮かびやすいです。
――作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
魅せたいコマはとくに力を入れて描いています。作画については毎日勉強です…。
――今後の展望や目標をお教えください。
この先も健康に気をつけてずっと漫画が描けたらいいなと思います。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつも漫画を見ていただき本当にありがとうございます。いただいたコメントは全て読んでおり、いつも励みになっています。これからも頑張りますのでよろしくお願いいたします。