寅子への“愛情表現”だと思います
――台本の中で、よねという存在をどう感じていますか?
よねがトラちゃん(寅子)や女子部のみんなと違うところは、恵まれない生い立ちがあって、すごくつらい過去を持っているところだと思うんです。もちろんつらい過去はそれぞれにあるんですが、恵まれない生い立ちで何も持っていない、持たざる者であるというのは明らかに他の人とは違うところだなと。
持たざる者の、それでも懸命に時代を這い上がっていく姿を描いていく。そういう役割をよねは担っていると思っています。
——寅子とよねの関係性も、一言では言い表せないものがあると思います。どのように感じていらっしゃいますか?
よねはトラちゃんに対してきついことをたくさん言っているんですけど、私はよねの愛情表現だと思っています。学生時代からよねがずっと“うっとうしい、うっとうしい”と言っても、それに対して構わずにトラちゃんが“よねさんよねさん”って来る様子が、あの2人の仲良しの証拠だと思っていて。それは戦後の時代になって再会してからも、基本的なところは変わってないなと思って演じています。
心を許せる、学校の仲間のような現場
――「うるさい、黙れ」というせりふが何度も出てきます。その時々で言葉の裏にある気持ちは違うと思いますが、違う気持ちを同じせりふで表現する難しさなど、どう演じ分けられていましたか?
「うるさい」とか「うっとうしい」「アホか」っていうのは、読み解いていくと結局全部、よねがうれしいときや照れているとき、図星を突かれたときに言っていると思うんです。なのでその時その時のよねの焦り具合や、動揺のレベルみたいなものを考えて演じていますね。
――同世代のキャストの方が多い現場かと思います。現場での印象的なエピソードを教えてください。
学校にいる気分です(笑)。特に学生時代の撮影をしていた時は本当に学校の仲間という感じで、みんながすごく心を許せる相手で。この年になってお仕事でこういう現場に出会えるのは本当にラッキーなことだなと思いながら過ごしていました。印象的なエピソードはありすぎて、毎日毎日いろんなことで笑いすぎて覚えていないくらい(笑)。
お仕事のこともすごく真剣に話し合えるし、くだらない話もできて、とても刺激になるありがたい現場です。
——共に法律事務所を始めた轟役の戸塚純貴さんとは同い年。同じシーンも多いですが印象はいかがですか?
純貴くんはリハーサルの時から100%でガン! と演じるんですよね。周りの様子を見ずにガン! と。その思い切りの良さがすごいなと思っています。
でも時々、肝心なかっこいいシーンで食べていた米粒を飛ばしてきたり(笑)、笑顔をもらえますし、和ませてくれる存在です。
――キャストのみなさんはすぐに仲良くなりましたか?
そうですね、最初から仲良かったです。沙莉ちゃんとは共演経験もあってまたぜひ共演したいなと思っていたので、初めから信頼していました。明るい人がとにかく多い現場だなと思います。