「撮影が押して藤の出番がなくなったことは印象深いです」
――国内外で話題になった場面が多々ありました。特に印象的だった撮影はどのシーンでしょうか?
最初に思いつくのは3話で虎永(真田)たちと大坂から網代へ向かう山道で敵と戦うシーン。本当はそこで藤も戦うことになっていたのですが、撮影が押して藤の出番がなくなったことは印象深いです。何日もなぎなたを練習したんですけどね…あれは悔しかったです(笑)。
また、第10話のラストで按針(コズモ・ジャーヴィス)と小舟の上で二人きりになったシーンですが、風と波が強く、下から水も入ってきている状態でしたので、いろいろと気を使いながら演技をしていました。
――大変な撮影だったのですね。そして劇中で最初は距離を置いて接しているように見受けられた藤と按針との関係性も徐々に変化し、言葉の壁を越えて最終回では通じ合っているように感じましたが、藤というキャラクターの変化についてはどのように感じていましたか?
最初に対象を「そういう人だ」と決めつけてしまうと、なかなかそこから印象を変えることができないこともあると思います。藤も按針に対して最初は野蛮な人というステレオタイプな印象を持っていましたが、(藤は)柔軟さもあったからこそ、そういう部分も乗り越えて通じ合えていったのだと思います。
――最終回直後にインタビューさせていただいたときは「正直なところどのくらい話題になっているのか、実感があまりありません」と話されましたが、あれから数カ月経過し、作品が「エミー賞」候補になったり、穂志さん自身も「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2024」を受賞されたり、周囲からの反響もいろいろとあったのではないでしょうか?
「SHOGUN 将軍」が本当に話題になっているというのは、6月に渡米したときにもすごく感じました。街中に看板がありましたし、レストランで隣の人が私に気付いてくれたりとか、書店にも日本のコーナーがあったりして、その真ん中に「SHOGUN 将軍」の本が置かれていました。日本文化が粋なものとして、さらに注目されるきっかけになったのかなとは感じています。
――「SHOGUN 将軍」の藤役はある種、穂志さんにとっての“運命の出会い”だったのかなと思いますが、穂志さんにとって「今思えばこれは運命的だったな」と思うこれまでの出会いは?
直近で思うのはやはり「SHOGUN 将軍」ですね。すごく私を救ってくれた作品だし、変えてくれました。何よりそこでの出会いは今もずっと続いていますし、今までの価値観などが変わって揺らぐという瞬間をたくさん経験したかなと思います。
――先日の「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2024」授賞式では、「私のようなマイペースな生き方が認められた瞬間」といったコメントをされていましたが、いつ頃から“マイペースな生き方”を実践されてきたのでしょうか?
物事は捉え方次第ですごく意味が変わってくる、真逆になってくるとか、そういうことを真田さんとの会話で気付きました。どう頑張っても私はマイペースな生き方になってしまう。現時点ですが、事務所に入っているとか、マネジャーさんがいる既存のスタイルじゃないところにいることもマイペースなことというか。それでも私は幸せだし、これからも自分の気持ちを優先していきたいです。
◆取材・文=原田和典
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/shogun/
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