コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、書籍『コミケにて「おっさんレンタル」で売り子をお願いした話』(竹書房)に収録されている『夏コミにて「おっさんレンタル」で売り子をお願いした話』をピックアップ。作者のいづみみなみさんが、2024年8月12日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ、2.4万件を超える「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事ではいづみみなみさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
ある人物を“レンタル”してストーカー対策
8月某日、コミケがあと数日に迫っていた時のこと。いづみさんは「いざ尋常に おっさんをレンタルする!!」と決意を固めていた。事の発端は、4年ほど前まで遡る。
その頃から、イベントで粘着ストーカーに悩まされていたいづみさん。そのストーカーは過去に、脅迫メールを2通送ってきたり、スペースに来ては30分以上喚き散らかされたり、いづみさんの住所を知りたがっていた。
そんな彼がイベントに来る確率は7〜8割。「帰ってください」「お願いだからもう来ないでください」といづみさんが言うと、「なんでそんなこと言うんですか!!!」と聞く耳をもたない。
しかし、男性の売り子がいる時や、いづみさんが隣の男性サークルさんと話しているときは話しかけてくることはなく、何度もスペース前を往復して睨み続けるだけだった。
執拗に付きまとわれていたが、解決の糸口が掴めないまま時が経ったある日。友人のM子さんと会った際に、いづみさんは「いつも女友達に売り子頼んでるけど、さらにもう一人男性の売り子さんがいてくれると助かるなー…」「いっそチャラめウェイ系とか元フランス外人部隊とかそんなかんじの人に売り子頼めたら最高。強さってパワーじゃん?」とM子さんに相談。
するとM子さんから「じゃあラッパーは?」というまさかの提案が飛び出した。M子さんの妹はラッパーをしているため、そのツテで売り子をしてくれそうなラッパーを探してもらえるかもしれないという。
面白い提案をしてくれたM子さんだったが、「それかおっさんレンタルだね」とさらに斜め上を行く案を出してくれて…。
この物語を最後まで読んだ人たちからは「ありがとうおっさん」「おっさんエピソードに心が温まる」「ラッパーの売り子も見てみたい…」「M子さんナイスアイデアすぎ」「“おっさんレンタル”パワーワードすぎ」など反響の声が多数寄せられている。
「おっさんレンタルをした」という体験に注目してほしい
――『夏コミにて「おっさんレンタル」で売り子をお願いした話』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
おっさんレンタルをしたきっかけが「ストーカー対策」というかなり深刻な状況だったので、タダで転ぶわけにはいかない、漫画にしてしまえ!といういきさつです。もちろん純粋に漫画で楽しんでもらいたいと気持ちも大きかったですが、同じような状況で困っている人に向けて何か情報を発信出来たらいいなという思いもありました。
――M子さんが提案した売り子の候補に、ラッパーとおっさんレンタルが挙がっていることに思わず笑ってしまいました。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
エッセイ漫画の中では「おっさんレンタルをした」という体験に注目してもらえたら嬉しいな、と思っていたので、なるべく明るく読めるように、テンション高めに、面白おかしく読めるように描きました。
実際には警察に相談したり何かあったときのために親しい人に連絡して事情を説明したり、かなり色々あったのですが、そういった方面はあえてさらりと流して描いています。
パロディや小ネタもたくさん盛り込んだので、そこも注目してもらえると嬉しいですね(笑)当時からかなり年月がたってしまったので古くなってしまったネタもあると思いますが、そこも含めて楽しんでもらえたら作者冥利に尽きるな~と思います。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
1p目3コマ目の、「いざ尋常に おっさんをレンタルする!!」のシーンです。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか。
ストーリー漫画の場合は、私の妄想や、今まで見た触れたコンテンツの数々です。エッセイ漫画は実際の体験をもとに描いていますが、それにプラスして、何か小ネタや豆知識を入れたり等、一捻りするようにしています。
――作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか。
エッセイ漫画をちゃんと描いたのは「おっさんレンタル」の漫画が初めてだったので、色々と試行錯誤だったのでした。元々描いていたストーリー漫画の作画よりはあっさりシンプルな絵柄にして気軽に読めるように意識しと思います。
――今後の展望や目標をお教えください。
商業で漫画を発表し続けて、あわよくばアニメ化やドラマ化になってほしいと思っています(笑)。
ストーリー漫画だけでなく、エッセイ漫画も描いていきたいです。スペインの巡礼路を800キロ歩いて一人旅した体験など、色々ネタはあるので、どこかでエッセイ漫画を発表できたらと思っています。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
これからも色々な漫画やイラストを発表していきたいと思っているので、X(Twitter)のアカウントをフォローしていただけると嬉しいです!