神木隆之介、31歳で日曜劇場初主演 若きベテランが語る“挑戦”への覚悟「うれしい気持ちと同時にプレッシャーを感じた」<海に眠るダイヤモンド>

“日曜劇場主演“に対して「弱気な部分もありました」


「お話をいただいたときは、うれしい気持ちと同時にプレッシャーを感じました。日曜劇場というと最近では『集団左遷!!』(2019年、TBS系)に出演させていただきましたが、大先輩の福山(雅治)さんのように多くの経験を積み、表現者として培ったものがある方が主演を務める枠だと思っていたので、最初は正直弱気な部分もありました」

 しかし、制作陣と会って話をしたことで安心できたと語る。

「野木さんや塚原さん、新井さんと直接お話しさせていただいたときに、皆さんの目が強い自信に満ちあふれていたんです。お三方の強い信念を感じ、この人たちについていけば大丈夫だなと前向きな気持ちになれました」

過去と、現代…2つの時代が並走する謎は「徐々に解き明かされていく」


しかし、高度成長期の1955年を生きる鉄平と現代の玲央。一人二役という設定には、正直驚いたと笑う。

「純粋にどういうこと?と思いました。特に軍艦島として知られる長崎県の端島を舞台にした過去パートは、僕が生まれる前の時代で経験したことのないことだらけ。端島は最大人口が5000人ぐらいだったそうで、取材したところによると誰もが顔見知りだったので、誰が誰とデートして、どうなったかも全員が知っていたらしいです。顔見知りの安心感もあれば、同時に息苦しさも感じる環境で、悩みも単純ではないはず。ですから、すごく繊細な表現が求められていくのだろうなと思いました」

 そのような背景の中で、神木は真摯(しんし)に役と向き合っている。

「端島パートで演じる鉄平は元気で前向きなキャラクターで、アニメ『ONE PIECE』のルフィのようなイメージ。一方、現代パートの玲央は面倒くさいが口癖の無気力、無感動、無関心男で、キーワードは“堕落”。なので、鉄平とはしゃべり方も変えています」

 実際に神木の芝居を見た新井プロデューサーも「とても同じ人とは思えない」と驚くほど見事な演じ分けをしているそうで、大きな見どころとなりそう。また、杉咲花池田エライザ清水尋也土屋太鳳など、神木と近い世代の俳優陣との共演にも注目だ。

「端島パートは同世代が多く、仲間がいっぱいいる!という感じで楽しいです。一方、現代パートでは宮本信子さんとどんなコンビになるのか、僕自身楽しみにしています。当時の端島に暮らし、時代に翻弄されつつ、駆け抜けた人々の人間ドラマに加え、今を生きる人々に寄り添った現代パートも見どころ満載です。2つの時代が並走する謎などは徐々に解き明かされていくそうなので、そこは僕も楽しみにしたいと思っています」

撮影=山田大輔/取材・文=及川静
※「月刊ザテレビジョン」2024年11月号より