コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、電撃コミックレグルスにて『怪奇古物商マヨイギ』を連載中の高川ヨ志ノリさんが描く『測定器』をピックアップ。
2024年8月15日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、3,000件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、高川ヨ志ノリさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
人間が幽霊の“測定器”を開発した結果…
「ここは出るよ」
人間は幽霊のことを「出る」と表現するが、幽霊にとってはただそこにいるだけで、話すことも触ることもできず、目の前の光景を見続けることしかできない。それなのに…。
あるとき、研究者が幽霊の「測定器」を発明した。この装置によって幽霊出現スポットが明確になった途端、人間の行動に変化が表れ始めた。幽霊の出現場所を地図に表して気味悪がるようになり、降りかかる健康被害などを幽霊のせいにするようになった。さらには“幽霊から見られない体になれる”という飲用水までも売られるようになっていったのだ。
作中に登場する幽霊たちは、悪いことの原因を自分たちのせいにする人間に不満をこぼす。幽霊は人間に対して良いことも悪いことも何も干渉できないのに…“一部”の幽霊を除いては。
幽霊の中には、人間に取り憑き病気にさせる質の悪い種類がいる。そして、その類の幽霊は人間が開発した測定器に反応することはなく…。測定器に反応した幽霊を避けるようになった人間たちは、その後、恐ろしい選択をしてくことになる――。
幽霊に対する人間の勝手な思い込みがもたらした結末に、読者からは「めちゃくちゃ綺麗なオチで好き」「面白い」などのコメントが寄せられている。
作者・高川ヨ志ノリさん「『この事柄がどんどん悪い方に進んだらどうなるか』を発端に話を作っていた」
――『測定器』を創作したきっかけや理由などをお教えください。
ガイガーカウンターがモチーフです。放射線同様に目に見えない「幽霊」を測定する機械にしたらどうなるかと考えた結果あのような話になりました。コミックマーケットなどで頒布していた「B6判20頁100円本」シリーズの中の一話です。
――本作の中で特にお気に入りのシーンやセリフなどを理由とあわせてお教えください。
特にこのシーンという訳ではありませんが、幽霊の髪の光と影の描き方は今より断然上手いなという点で好きです。あと白黒だけでグレー部分の無いアナログ作画という点が気に入っています。
――作中にメインで描かれている幽霊たちはみんな長い黒髪の女性です。読者から「幽霊さん美人」とのコメントも見受けられましたが、幽霊のデザインでこだわったポイントをお教えいただけますでしょうか?
没個性な外見にしたかったので、測定される幽霊は全員ステレオタイプな同じデザインです。美人なのは、単に美人が描きたかっただけですね。
――今回の作品も含め、高川さんの漫画は奇妙さや不気味さを感じるお話が多いですが、創作の際はどういうところから着想を得ているのでしょうか?
『測定器』を描いていた頃辺りは、基本的に「時事ネタなどを元に、この事柄がどんどん悪い方に進んだらどうなるか」を発端に話を作っていたので、大体奇妙で暗い話になっていました。近年はもう少し力の抜けた明るめな話を描いていますが、根底に不気味さはほんのり残すようにしています。エロスかタナトスかという区分なら圧倒的にタナトス寄りの話が描きやすいタイプですね。
――最後に、読者やファンの方へメッセージをお願いします。
大昔から追ってくださっている皆様も、最近知ってくださった皆様も、全方位的にありがとうございます。今年はまさかこの歳で初の商業コミックスが出たりして、人生何が有るか分からないものですね。今後もなんやかんや描いていると思いますので引き続きお付き合いいただければ幸いです。