亮子は“法”や自分を俯瞰で見られる人
――視聴者の方からの反響はどのように受け取られましたか?
すごく好意的に、作品を楽しんでくださっている声が多かったというのが最初に感じたことです。神波亮子という趣里さん演じる役柄への反響が大きかったのもすごくうれしかったですし、弁護士事務所のメンバーたちへの反響も大きくて。亮子に協力するコンビニ店員の尊(中川翼)を含め、どのキャラクターのことも見落とさずに注視してくださっている印象がありました。
――亮子というキャラクターはどのように生まれたのでしょうか。
“国民は法の下(もと)に平等”と憲法にありますが、法を俯瞰(ふかん)して見ることができる視点を持った人にしたいというのが橋部さんの中にあり、そこが亮子の根幹のスタートでした。
法律は人間の判断のもとに作られているものっていうことを、意外と見逃しがちだなと。だからといって法律を作っている人を否定するわけではなく、それとは別に、人が法を“上”から見てても悪いことではないし、そういう視点をもった人がいても面白いんじゃないかと思うんです。そして法以外のあらゆるもの、自分のことも俯瞰で見てるような、そんな人物としてどんどん出来上がっていった気がします。
なので、各案件において依頼人が本当に思っていることや、依頼人も気付いていない部分も彼女は“観えている”。そういう視点は彼女独特のキャラクター性だと思います。
――では、亮子の相棒になる杉浦(ジェシー)、亮子の父・粒来(古田新太)はどうですか?
杉浦は、亮子が普遍的ではない人だと見えるようにしたいというところから、なるべく普遍的な視点を持った人物で、視聴者と同じ目線で亮子に対して驚いてくれたり、おかしいと思ってくれたり、「普通はこうだよ」みたいなことを言ってくれる人を作りたいというところから出来上がっていきました。
粒来は、亮子と似たような感覚を持っている人。親子だなという感じは作品の中で出せているかなと思います。一般的に見たらあまり触れたくないとか、接したくない人物、やりたくない案件なども、そこに何もバイアスを感じることなく接することができ、行動できる人物です。周りから見てどうかとか、常識的にどうかみたいな基準では、粒来と亮子は動いていない形にしました。
期待を「超越した」趣里の演技とジェシー&古田新太と3人で絡む面白さ
――そのメイン3人のキャスティングについて教えてください。
まず趣里さんが決まりました。得体の知れない弁護士を演じていただくにあたって、趣里さん自身も読み切れない部分がある方だなと感じていました。連続テレビ小説「ブギウギ」(2023-2024年、NHK総合ほか)前までと、「ブギウギ」後の印象がだいぶ違いますし、幅がすごくある方で魅力的だなと思っていたので、キャスティングをさせていただきました。
亮子を演じてもらったら、想像以上の引き出しと、さらなる幅が出てきて。もともとすごい方と思ってオファーはしていたものの、それを超越する形を出してきてくださったので、見ていてすごく楽しいし、ワクワクするお芝居をしてくださるなと思っています。
趣里さんの次に決まったのが古田さん。得体の知れない娘を持つ父っていうのは絶対に得体の知れない人で、物語の構成上、若干闇を感じるような人にしたいところもあったので、古田さんのような、何か読み切れない怖さみたいなものを醸し出せる方がいいなとオファーしました。
そして、この親子が揃ったところで、2人の間に立つというか、3人が並んで立った時にどういう人がいたら面白く見えるだろうかと。ビジュアルの面でもそうですが、この3人が絡んだらどうなるんだみたいなことを想像した時に、いろんな方の名前が挙がる中で、ジェシーさんという案が出た時に、「見てみたい」と思いましたし、イメージが沸きました。役的にも振り回されたり、どちらかというとリアクターというか、視聴者と同じ目線で動いていって、一緒に驚いて、一緒に悩んで…という反応をしてくださるお芝居が面白いんじゃないかという予感を強く感じたので、ジェシーさんにお願いしました。