笑い方も違う…双子を演じる倉科カナの見事な演技
弁護士の友人から「余計なことしないほうがいいんじゃない」と言われた彩江子だが、愛里紗に電話をして修と“緑色の服を着た女性”との密会を告げた。「伝えるべきか悩んだんだけど、黙っているのも正しくないような気がして」と言う彩江子に、愛里紗は「彩江ちゃんらしい。教えてくれてありがとう」と言って電話を切った。
その夜、愛里紗の自宅にやって来た英里華の洋服は、彩江子が言っていたのと同じ緑色で、一瞬だけ愛里紗の表情が固まったようだが、すぐにほほ笑みを取り戻し、家の中に招き入れた。ダイニングテーブルには修がすでに座っていて、英里華を何事もなかったように迎え、英里華も「お久しぶり、お義兄さん」とあいさつした。
修と英里華は意味ありげな視線を互いに投げ掛けるが、愛里紗はそれには気付かない。しかし、どこか冷たさ漂う食事シーンとなった気がするのは、見ているこちらがすべて分かっているからかもしれない。英里華の「10年以上ず~っと思い続けている人がいるの」というのは修のこと。アメリカに行ったのも、すでに愛里紗と結婚していた修のそばにいるのがつらいからだった。
アメリカに旅立つとき、修のこととは言わずにその思いを打ち明けた英里華に、愛里紗は「そんなに欲しいなら、とっちゃえばいいじゃない」と言った。それを実行した形だろうか。食事しながら「お姉ちゃんは幸せ者ね」と言った後に、「幸せボケって言ったほうがいいのかな」と小さく笑ったのはなんとも挑発的だ。
そんな姉妹のゾクッとする瞬間を1人2役で表現した倉科の演技が光った。愛里紗はクールビューティー、一方、英里華は活発で奔放な雰囲気をたたえている。笑い方も異なっていて、見かけはよく似ていても、中身は違う双子というのを見事に体現していた。
新たなる“情事と事情”がつまびらかに。感情がはっきりと表に出てこないだけに、愛里紗はすべて勘付いているのか分からないが、その愛里紗も晴人と距離を縮めている。物語として危うさがいっそう深まった。
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◆文=ザテレビジョンドラマ部