土井先生がきり丸を気にかける理由とは?
そもそも「忍たま」を一度でも観たことがある人たちは、きり丸=お金が大好きというイメージが強いのではないだろうか。このきり丸の特徴が2人の絆を紐解く上で重要になってくる。なぜきり丸はこんなにも小銭が大好きで、「タダ」「安い」という言葉に弱いのか?それは、きり丸が“戦争孤児”だからである。
いつもギャグが満載で明るく楽しい「忍たま」だが、実は物語の舞台は室町時代後期。きり丸は、戦で家を焼かれて家族を亡くしたというあまりにも壮絶な過去を背負っている。そのため、きり丸は忍術学園の学費と生活費を稼ぐために、アルバイト三昧な日々を送っているのだ。まだたった10歳なのに…一人でたくましく強く生きねばならない。
長期休みを一緒に過ごすことに慣れてきたきり丸と土井先生。あるとき、きり丸はふと「先生はどうして僕のことを気にかけてくれるんですか?」と疑問を口にする。土井先生は「同じような育ち方してるからかな」と返すのだが、実は土井先生もまた家族と家を失っていた。
幼いころに屋敷が夜襲に遭い、土井先生以外の家族が皆殺しにあってしまう。その後、紆余曲折あり、山田(伝蔵)先生との偶然の出会いから、忍術学園の教師になるのだった。土井先生もまたきり丸と同じようにあまりにも悲しくてつらい過去を持ち、必死に生き抜いてきた。
土井先生は元々優しく面倒見が良いというまさに仏のような性格の持ち主であることに加え、誰よりもきり丸の気持ちが分かるからこそ、彼をほっとけないのだろう。独り同士だからこそ、血は繋がっていないがそれに負けず劣らず強固で特別な絆で結ばれている。土井先生ときり丸はお互いが家族のように大切なのである。特にきり丸にとっては、土井先生が唯一甘えられて、信頼できて、そして温もりを感じられる大人なのではないだろうか。
土井先生のダークな一面が開花しそうな同映画。今度はそんな闇の中で迷子になっている土井先生に、きり丸が「さ、一緒に帰ろう」と光の手を差し伸べるのかもしれない。
構成・文=戸塚安友奈
12月20日(金)劇場公開
原作:「落第忍者乱太郎」尼子騒兵衛(朝日新聞出版刊)
テレビアニメシリーズ「忍たま乱太郎」
「小説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師」
(原作・イラスト:尼子騒兵衛/小説:阪口和久/朝日新聞出版刊)
出演:高山みなみ 田中真弓 一龍斎貞友 関俊彦
大塚明夫 岡野浩介 間宮康弘 森久保祥太郎 代永翼
成田剣 保志総一朗 渋谷茂 神奈延年 置鮎龍太郎 鈴木千尋
小田敏充 金丸淳一 山崎たくみ 東龍一
スペシャルゲスト:大西流星 藤原丈一郎
監督:藤森雅也
脚本:阪口和久
音楽:馬飼野康二
主題歌:「ありがとう心から」なにわ男子
テーマ曲:「勇気100%」なにわ男子
キャラクターデザイン:新山恵美子
副監督:根岸宏樹
アクション作画監督:関根昌之
美術監督:川口正明(アトリエローク07)
撮影監督:林コージロー(グラフィニカ)
色彩設計:村田恵里子(グラフィニカ)
編集:坂本雅紀(森田編集室)
音響監督:大熊昭
音響効果:庄司雅弘
音響制作:AUDIO PLANNING U
アニメーション制作:亜細亜堂
配給:松竹
製作:劇場版忍たま乱太郎製作委員会
公式X:@nintama_eiga
(C)尼子騒兵衛/劇場版忍たま乱太郎製作委員会