さまざまな“人”を描く
――さまざまなジャンルのテーマがありますが、同時に追い掛けているんですか?
今は同時進行で20個以上のテーマを取材しています。どのテーマで、「あ、この人!」っていい人が見つかるか分かんないですからね。
例えば「保育士」だったら、「保育士」の仕事は皆さん語れるんです。だけど、保育士をやりながら、実はこんなことを背負っていますとか、私生活のこともしっかり語ってくれる人、もっと言えば“人生”を語れる人はなかなか出会えません。だからこそ、そういう人を一生懸命探して、主人公としてスタジオに呼びたいと思っています。
でも、去年やった「地下アイドル」とかは70人以上取材したんですけど、皆さんまだ若いので波瀾(はらん)万丈な人生とまではなかなかいきませんよね。地下アイドルとしてのスタンスもさまざまですし。なので、スタジオには3人呼んで、VTR取材もいっぱい入れて群像として描く方向にシフトチェンジしました。
だから、20個以上追い掛けていますけど、その中からどれが主人公になりそうな人に当たるのか分かんないんですよ。「ぱたっと当たらなくなったらどうしよう…」っていう怖い夢をよく見ます(笑)。
――主人公になる人と、他の方との違いは何かあるんですか?
ディレクターからの「この人こんな人生なんです」という報告を、時間を忘れて面白く聞けるかどうかですかね。それを聞いてポイントを絞ったり別の掘り方をしたりしてさらに取材で掘っていくと、取材メモもどんどん厚くなってどんどん面白くなるし。特別何かが違うというか、やっぱり主人公になるのは面白いからですね(笑)。
やっぱり「ニンゲンっておもしろい!」
――以前登場したゲストの今後を紹介することもあるんでしょうか?
はい。主人公になる人とはメールしたり直接会ったり、ディレクターがものすごく長い時間やりとりするんです。だから、出演後も「今どうしてますか?」「番組に出た後で困ったことはありませんでしたか?」っていう連絡もしていたりして。それも、ただ単に番組用のネタとして聞いてるわけじゃなくて、個人のつながりが生まれているんですよ。
だから、ゲストの今後という部分は、ただネタに困ったから入れようと思っているんじゃないんです。取材した時に「これからどうするの?」って聞いていたりもするので、「じゃあ今どうなっているんだろう」っていうことも掘っていきたいですよね。そういうふうに、時を重ねて見ていくのってさらに深まっていくのでいいなと思っています。
――シーズン2になり、より攻めたテーマも多くなっていくとのことですが、逆に、変えたくないところはどんなところですか?
きれいにまとめたくはないんです。とにかく掘れるだけ掘って、職業だけじゃなくて“人”を描くということですね。だから、取材する時には仕事の話だけじゃなく「最近楽しいことあった?」とか「彼氏できた?」って聞いたりして。テーマになることだけを描くんじゃなくて、これからも「ニンゲンっておもしろい!」をコンセプトに、人にフォーカスしていきたいです。
毎週水曜夜11:00-11:30
NHK Eテレで放送中
※10月18日(水)は「国会議員秘書」の再放送