
3月18日(火)、19日(水)に東京ドームで行われるロサンゼルス・ドジャース対シカゴ・カブス戦で、2025年のMLBが開幕する。ドジャースには大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希、一方カブスには鈴木誠也、今永昇太と日本人選手が所属するチーム同士の戦いとあって、日本中ですでに興奮が高まっている。
そんな特別な一戦の見どころを、「ワースポ×MLB」(NHK BS)で約5年間キャスターを務め、MLBのみならず「野球に詳しすぎる」と話題にもなったフリーアナウンサーの山本萩子さんが解説。各チームの魅力やテレビ中継で見るポイントなど、さまざまな目線から今シリーズの楽しみ方を存分に語ってもらった。
「日本人選手が共に戦う姿をかみしめながら見てほしい」
――過去にもMLBの開幕戦が日本で行われたことはありますが、今回は特にどんな点が特別だと思われますか?
前回の日本での開幕戦は、2019年3月に行われたシアトル・マリナーズ対オークランド・アスレチックス戦でした。イチローさんの引退試合として国内外で大きな話題となった試合で、私はちょうどその年が「ワースポMLB」(NHK BS)のキャスター1年目の年だったんです。
当時からメジャーリーグは確固たる地位も人気もありましたが、現在の日本国内の人気と注目度の高さは、その頃と比べても何倍にも膨れ上がっています。それはやはり大谷翔平選手という新たなスターが現れたから。そして大きく違うなと感じることは、大谷選手の周りの選手の認知度もどんどん上がっているんですよね。ドジャースのチームメイトはもちろん、対戦するカブスの選手だったり。そうして選手のことやチームの情報を、ある程度事前に認識した状態で見られるので、より試合に入り込んで見ることができるんじゃないでしょうか。
――対戦する両チームに日本選手がいるのも初めてですよね。
そうですね。メジャーリーグの開幕戦というすごい舞台で、日本人選手同士が対戦したり、共に戦っている特別感を私もかみしめながら見たいですし、ご覧になる皆さんにもぜひ一挙手一投足に注目してほしいと思います。
――では、今回来日するドジャースとカブスはどんなチームなのか教えてください。
両球団ともナショナルリーグに所属するチームですが、どちらも長い歴史と人気があるチームで、「メジャーリーグのチームといえば?」という話題ではトップ5の中に入ってくるであろう人気球団です。ただ長い歴史を持つ球団だからこそいいときも悪いときもあって。現在のドジャースはスター軍団を擁し黄金期真っただ中、一方のカブスはどんどん期待の若手選手が出てくる勢いのあるチームという位置付けで、チーム状況としてはある意味対照的という印象です。
――カブスはどんな魅力や強さのあるチームだと思いますか?
とても守備力の高いチームですね。セカンドにはニコ・ホーナー選手(今回の開幕シリーズは欠場)がいて、二遊間を組むショートにはダンズビー・スワンソン選手。どちらもゴールドグラブ賞を受賞した実力者です。それに加えて外野手は、今季ヒューストン・アストロズから移籍したカイル・タッカー選手がライト、レフトを守るイアン・ハップ選手と、こちらもゴールドグラブ賞受賞者です。そして中でも注目していただきたいのが、おそらくセンターを守るであろうピート・クロウ=アームストロング選手です。
彼は名前の頭文字をとって「PCA」と呼ばれているのですが、驚異の俊足を生かした広大な守備範囲と強肩を持っていて、守備と走塁だけならMLBトップクラスだと言われているくらい。皆さんがテレビ中継で見慣れている東京ドームの同じ景色の中で、どんなプレーを見せてくれるのか。その強肩ぶりやスピード感は見ていて分かりやすいと思うので、そういったところにすごさや違いを感じることができるのも見どころの一つだと思います。そんな守備をバックに、開幕戦のマウンドを任されるであろう今永投手がどんな投球を見せるのかもすごく楽しみです。
――続いて、ドジャース。2024年は見事ワールドチャンピオンに輝きましたが、2025年はさらに補強を重ねていますね。
現地アメリカのあるデータサイトでは、ナショナルリーグのチームの勝利数が予想されているのですが、カブスが90勝を超えるとされて3位、続く2位がアトランタ・ブレーブス。そして1位がもちろんドジャースなんです。どこを切り取っても盤石で、しっかり大型補強もしてちょっとチート級と思ってしまうほど(笑)。
注目しているのは二遊間。私は守備、特に内野守備が好きなので。今季は韓国からキム・ヘソン選手が新加入しましたが、先日ノックの映像を見たら守備がすごくうまい。おそらくムーキー・ベッツ選手がショートに入って、セカンドにはトミー・エドマン選手かキム選手が入ると思います。ベッツ選手は、本人の話を聞いているとショート守ることの特別感をすごく感じていて、モチベーションも高くシーズンに臨んでいる。身体能力を活かした高い守備力を誇るはずなので、二遊間の守備を見るのはすごく楽しみです。
ちなみに、開幕戦では登板しないと思いますが、ドジャースの先発投手で今季怪我から復帰するダスティン・メイという投手がいて、彼は160km/hを超えるシンカーで内野ゴロを量産するんです。だからぜひ内野ゴロでたくさん打ち取ってほしいですね。大好きな内野守備をたくさん見られるので(笑)。
――メジャーリーグの二遊間の守備は見ていても違いを感じますか?
そうですね。内野ゴロでボールを取ってから投げる動作にも、プロ野球ではあまり見かけないメジャーリーグならではのプレーがありますし、今回は同じ東京ドームの中継で見るからこそ「あれ、いつもと違うかも」というのに気が付きやすいかもしれません。



























