
俳優の伊藤沙莉が、7月9日に都内で開催された「第51回放送文化基金賞」贈呈式に登場。主演を務めた連続テレビ小説「虎に翼」(2024年、NHK総合ほか)がドラマ部門の最優秀賞を受賞したほか、個人としても同作で演技賞を受賞し、涙ながらに作品や共演者・スタッフへの思いを語った。
伊藤、ステージに登壇するなり涙
「放送文化基金賞」は、視聴者に感銘を与えた優れた番組・配信コンテンツや、放送文化、放送技術の分野で顕著な業績をあげた個人・グループに贈られる賞。1975年の設立当初から放送番組だけでなく、放送文化の発展・向上に貢献した取り組みや、放送に関連する技術の開発などの成果にも焦点を当て、民放やNHKだけでなく、第10回からは制作プロダクション、第49回からは配信コンテンツにも表彰対象を拡大。時代とともに変化する放送の姿を捉えつつ、広く表現者の功績を称えている。
「虎に翼」は、日本初の女性弁護士であり、後に裁判官となった三淵嘉子さんをモデルにしたオリジナルストーリー。伊藤は、昭和の初め、法曹界に飛び込み、困難な時代の中で“法とは何か?”を問い続けた主人公・猪爪(佐田)寅子を演じた。
制作統括の尾崎裕和氏、脚本の吉田恵里香氏、共演の森田望智、土居志央梨のスピーチの後、「どうしよう…!どうしよう!ごめんなさい!」と自身のスピーチ前から感極まった表情で登壇してきた伊藤は、「このような賞を受賞させていただき本当にありがとうございます。とてもありがたく、光栄に思っています」と涙ながらに話しだす。
続けて「『虎に翼』は、私がお芝居をさせていただいてきた中で生涯の財産だなって思っていて、それは“朝ドラヒロイン”という経験ももちろんあるんですけど、それ以上にこの作品に関わる方々との出会いであったり、みんなと過ごした時間であったり、全てひっくるめての財産というふうに思っています」と伊藤にとって大きな財産となった作品であることを伝え、「現場の皆さん本当に一人残らず感謝していますし、大好きな愛している人たちなんですけど、やっぱり一緒に戦ってきた2人(森田と土居)から作品への気持ちだったり、こちら(伊藤)に対してメッセージを頂いてビックリしまして。(2人からティッシュを渡され)ティッシュは大丈夫なんですけど(笑)。取り乱してすみません」と感謝とともに、思いがけずこぼれた涙を恥ずかしそうに謝る場面も。
伊藤、朝ドラの思い出映像で元気チャージ」
また、放送終了してから10カ月ほどたつが、伊藤は「いまだに終わってるんだか終わってないんだかみたいな気持ちのまま過ごしています」と打ち明け、「スタッフさんが打ち上げ用に思い出集みたいな、米津(玄師)さんの曲に乗せたムービーを作ってくださったんですけど、おうちにいるときとか、落ち込んだり自信がなくなったりしたときにそのムービーを見て、あったかい時間を思い出して、『また頑張るか!』って日々を過ごしています。とても大好きな、大切な作品なので、このように評価していただき、たくさんの方に愛していただけたことを本当に幸福に思っていますし、心から感謝申し上げます。ありがとうございました」と今でも作品から元気をもらっていることを話し、感謝を込めた。
そんな伊藤に対してメッセージを求められると、森田は「終わってから手紙も書いているくらいめちゃめちゃ思いを言っているのであれなんですけど」とした上で、「本当にみんな沙莉ちゃん演じる寅ちゃんからエネルギーとか、感情をもらって自分が持っている以上のものを引き出されて。沙莉ちゃんのおかげでケミストリーが生まれている現場だったから、本当に沙莉ちゃんのためにある役だなと。一番近くで女学生の頃からおばあちゃんになるまで芝居を見ることができたので、私にとってはすごく宝物な時間になりました」と伝え、伊藤は「油断すると泣いちゃうから(笑)」とあえて険しい表情で聞いていた。
最後に、MCから「“寅ちゃん”として生きた時間は、ご自身にとってどんな時間でしたか?」と問われると、伊藤は「最高でした!」と笑顔で締めていた。
ほか、ドラマ部門の受賞は以下の通り。
・奨励賞:Netflixシリーズ「極悪女王」(2024年、Netflix)/出演者ゲスト:ゆりやんレトリィバァ、剛力彩芽
・奨励賞:「ドラマ10 燕は戻ってこない」(2024年、NHK総合)/出演者ゲスト:中村優子
・優秀賞:「ホットスポット」(2025年、日本テレビ系)/脚本賞:バカリズム/演技賞:角田晃広
◆取材・文=月島勝利(STABLENT)

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