
動画配信サービスの普及により、今や時間や場所に縛られずテレビを楽しめる時代。WEBザテレビジョンは、TVerで配信されている番組の中から全国で人気を集めるローカル局制作の番組をピックアップ。制作陣へのインタビューを通じて番組の魅力に迫る。
第1弾は名古屋・中京テレビ制作の『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』(中京テレビ月曜24:59〜/日本テレビ木曜25:29〜放送)。『オドぜひ』の愛称で視聴者に親しまれている本番組は“クチコミ”と呼ばれる「オードリーの2人に会わせたら面白そうな人」の推薦投稿の中から、若林正恭と春日俊彰が会いたいと思った人(=ぜひらー)をスタジオに招いてトークを繰り広げる視聴者参加型のバラエティーだ。
2012年にローカル番組としてスタートし、2019年からは全国に放送されている。今回は企画の立ち上げから携わった富田恭彦プロデューサー(CTV MID ENJIN)に、番組人気の理由やここでしか見られないオードリーの魅力について語ってもらった。
素人さんを巻き込んできた中京テレビの伝統が土壌に
ーーオードリーさんで番組をつくろうと思った理由について教えてください。
オードリーさんとは『オドぜひ』の前にも、中京テレビで『サタメン!!!』という番組を作っていたんです。その番組は残念ながら1年で終わってしまったんですが、一緒にお仕事させていただいて、おふたりのトークの面白さはよく分かっていたので、次もオードリーさんと番組をやりたいなと思っていました。
ーー企画はどこから生まれたのでしょうか。
先ほども言ったようにオードリーさんはトークが面白いので、そこは全力で乗っかろうと。プラスして会社から視聴率につながる“話題性”がほしいと言われていたので、じゃあ一般の方に参加してもらったら、より番組が盛り上がるんじゃないかと思って、オードリーさんに素人さんとトークしてもらう形でまとまりました。
これまでも中京テレビは伝統的に一般の方を巻き込んで番組をつくってきた局なんですね。80〜90年代に『5時SATマガジン』という素人さんをフィーチャーした番組があったんですが、それが名古屋でちょっとしたムーブメントになったんです。以降も芸人さんやタレントさんに素人さんと絡んでもらう番組をやってきたので、それも一つの土壌になっています。
ーーオードリーさんと素人さんを絡ませたら面白くなるだろうと最初から確信されていたのでしょうか。
そこは、ちょっとした賭けでしたね。当初はめちゃくちゃ面白い人たちがたくさん集まってとは思っていなかったので、オードリーさん困るだろうなって(笑)。ただ、おふたりが困りながらも、どうにかしようとしている様を面白がる感じも番組の柱にしたいなと思って、最初の頃は「この人でどうやって尺を作ればいいんだろう?」と思うような人をあえて呼んでいました。
ーー番組が始まって13年が経ちますが、何かご自身の中でターニングポイントとなったことはありますか?
こういう番組って普通は、自他共に認める面白い特技や一発芸を持っている人を集めますよね。でも、この番組はそうじゃないって気づけたことが大きかったですね。本人も周りも気づいていないけど、掘り下げてみたらめちゃくちゃ面白い人。そういう人が輝く番組なんだと気づいてから、格段に面白くなったように思います。
オードリーに会うと素人さんの緊張がほぐれる
ーー富田さんが番組に素人さんを起用する上で、心がけていることはありますか?
当たり前ですけど、『オドぜひ』は素人さんあっての番組なので、その方々に対してのリスペクトは忘れないようにしています。それはオードリーさんも同じだと思いますね。
あと、大事にしているのは素人さんに「嘘をつかせない」こと。どうしてもテレビ的に面白いと思った方に素人さんを誘導しがちなんですが、そういうことはしないようにしています。というより、そうしないほうが結果的に面白くなるんですよね。
ーーその人らしさを大事にされているんですね。ただ、やっぱりカメラを前にすると緊張してしまうと思うんですが、なるべく普段通りに振舞ってもらうコツはあるのでしょうか。
面接を経て出演が決まった方には担当のディレクターがついて、一緒にお話をしながら台本らしきものを作っていきます。台本といってもガチガチに固めたものではなく、大まかな流れですね。
それにあたって、僕はディレクターたちに担当する方とはなるべく密にコンタクトをとって、もし近くにお住まいの方であれば、収録の前にお茶かご飯に誘ってねとお願いしています。そうやって事前に物が言いやすい環境づくりをしてはいるんですが、やっぱりリハーサルになると皆さんガチガチになってしまって。
でも、これがすごいなって思うんですが、いざ本番でオードリーさんと会うと、皆さんすごくよく喋るんですよ。オードリーさんが相手の緊張を解くのが上手なのか、そもそも人を緊張させない雰囲気を出しているのかは分からないですけど、さすがだなあと思います。
ーーオードリーさんの素人さんへの接し方で感心した部分はありますか?
オードリーさんとの打ち合わせでも「今日のぜひらーさんはこういう人ですよ」と軽くお伝えはしているんですけど、本当に全く顔合わせとかはしていないんですね。
それでもあんなにいつも話が盛り上がっているのを見ると、若林さんも春日さんも相手がどういう人かを見抜くのが早いんでしょうね。例えば、「この人は少し強めにいっても大丈夫そうだな」とか、「この人はこういう角度から攻めたら面白くなりそう」といったことを、おふたりは瞬発的に判断しているんじゃないかなと考えています。


































