
日本ミステリー界の巨匠・綾辻行人の代表作の一つ、『館』シリーズ。動画配信サービス・Huluでは、“映像化不可能”と言われた傑作ミステリー小説『十角館の殺人』を、オリジナルドラマとして2024年に配信。そして2026年2月からはシリーズ実写映像化第2弾としてHuluオリジナル「時計館の殺人」の独占配信も決定している。そこで本記事では、2作品のあらすじや見どころについて紹介していく。
原作の時代設定そのままに映像化を実現した実写ドラマ「十角館の殺人」
2019年に、日本のミステリー文学の発展に寄与した作家・評論家に贈られる「日本ミステリー文学大賞」を受賞した綾辻行人。代表作である『館』シリーズは、国内のみならず世界中のミステリーファンから支持を集めており、これまでに発表された9作のシリーズの全世界累計発行部数は750万部を超えている。
そんなシリーズの第1作であり、長年 “映像化不可能”と言われてきた『十角館の殺人』が、2024年にHuluオリジナル「十角館の殺人」として実写映像化されると、配信スタートからわずか1週間でHuluの累計視聴総合ランキング1位にランクインし、その後2024年度のHulu年間視聴ランキング“Huluオリジナル部門”でも堂々の1位を獲得。さらに、全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)が主催する「第40回ATP賞」のドラマ部門では奨励賞を受賞、アジア最大級の番組アワードである「第29回アジア・テレビジョン・アワード」のドラマ・シリーズ部門にノミネートされるなど、国内外で高い評価を受けた。
10月3日(金)にはBlu-ray(初回生産限定)の発売も決定している本作。綾辻ミステリーならではの全編に仕掛けられた巧妙な叙述トリック、“あの1行”の衝撃を緻密な映像描写で描き出し、原作ファンはもちろんのこと、原作未読の方でも楽しめる一作に仕上がっている。
本作の舞台は1986年、十角形の奇妙な外観の“十角館”が佇む角島。焼け落ちた本館・青屋敷では、十角館を建てた建築家・中村青司(仲村トオル)が謎の死を遂げていた。その半年後、角島にK大学ミステリ研究会のメンバー7人が訪れる。一方本土では、元ミス研メンバーである江南孝明(奥智哉)のもとに、死んだはずの中村青司から手紙が届いた。その後江南は調査を進めていくうちに、島田潔(青木崇高)という男と出会い行動を共にしていくが、十角館ではミス研の1人が何者かに殺害され――。
実写ドラマも、原作通り、1980年代であることを前提に制作された。原作者の綾辻も映像化にあたり、当時のインタビューで「僕がこだわったのは、1986年という時代。それだけは変えないでくださいというのは強くお願いしました」と語っていたように、当時の時代背景そのままに映像化することには、深い意味があった。時代設定を現代に変えると、その辻褄を合わせるために、他の何かも変えなくてはならなくなる。“ミステリーはフェアでなくてはならない”という原作者のこだわりを映像でも見事に表現している点に、注目したい。

前作のキャストやスタッフが再集結、『館』シリーズ実写映像化第2弾は「時計館の殺人」
そして2026年2月よりHuluにて独占配信されるHuluオリジナル「時計館の殺人」は、『館』シリーズ第5作の同名小説が原作。1991年に発行された上下巻に分かれる傑作長編で、1992年には「第45回日本推理作家協会賞」を受賞した。
“十角館の惨劇”から数年後、出版社に就職した江南孝明は、推理作家としてデビューした鹿谷門実(島田潔)のもとを訪ねる。江南はオカルト雑誌の新米編集者として、担当している企画の“交霊会”に参加するため、建築家・中村青司が設計した“時計館”に行くことを鹿谷に伝えた。数日後、時計館を訪れた江南たちだったが、交霊会の夜、メンバーの一人が忽然と姿を消し、館内では仮面をかぶった何者かが江南たちに襲い掛かる…。一方館外では、時計館の主人が遺した“沈黙の女神”の詩の謎を鹿谷が追っていた――。
メインキャストには前作「十角館の殺人」に続き、奥と青木が同役を演じる。内片輝監督他、複数のスタッフが再集結。原作者の綾辻も「『十角館』とはまた違った難題がたくさん待ち受けていそうですが、内片監督のことだから今度もきっと見事にクリアしてくれるだろう、と期待しています」とコメントを寄せており、今作への期待が高まる。
シリーズNo.1の呼び声も高い傑作長編『時計館の殺人」。“映像化不可能”を可能にしたスタッフ・キャスト陣が再び集結し、今度はどのような工夫を凝らして映像化に挑むのか、ぜひ注目したい。

https://www.hulu.jp/jukkakukannosatsujin
▼Huluオリジナル「時計館の殺人」 奥智哉&青木崇高スペシャルインタビュー▼
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