
老若男女問わず全ての人をとりこにする不思議な魅力を持つ、“ナチュラルボーン天使の北くん”こと真中北(岩瀬洋志)に恋をした3人の男女が、北くんを交えた4人での同棲生活を送る姿を描く“シェアラブコメディー”『北くんがかわいすぎて手に余るので、3人でシェアすることにしました。』(毎週火曜夜11:00-11:30、フジテレビ系/TVer・FODにて配信)もあと3話で最終回。自由奔放な看護師・浅田南(本田翼)、パン屋の店員・比留間東子(志田未来)、書店員・西野悠(増子敦貴)は、自分の人生を歩くために今のままでいいのか悩み始める。一方、北くんの過去を知る人物も登場する。そんな新たな展開を見せる本作について、永富康太郎プロデューサーにインタビュー。反響やキャスティング、今後の見どころについて話を聞いた。
「題材としてすごく面白い」作品の魅力
――周りの反響はいかがですか?
1人の男性を男女3人で33%ずつシェアするという題材を実写ドラマ化するにあたって、視聴者の方へどのように伝わるのか、放送がスタートするまでは正直ドキドキする思いもあったのですが、自分が思っていたよりも柔軟に受け入れていただけたようでうれしかったです。きっとそれは、“かわいすぎてシェアしてしまう”というキャッチフレーズ通り、北くんと3人の個性的なキャラクターに助けられている部分が大きいと思います。視聴者の方の声を伺っていると、それぞれのキャラクターにファンがついている様子も見られるので、“推し活”のようで面白いなと思っています。
――題材的な面での懸念点があったとのことですが、大胆な設定で描かれる原作を映像化しようと思った理由は何だったのですか?
原作のキャラクターがとても個性的なのと、シェアするだけではなくそれぞれがどのような人生を選択していくかの“人間ドラマ”としての要素が描かれていたことが大きいです。30歳前後の男女ということもあり、それぞれが人生の選択を迫られていて…。南は北くんとの将来を想像して波海斗(木村達成)との未来を天秤にかけて“本当の幸せ”とは何なのか…と悩んだり、東子も子どもの頃から憧れていた自分のパン屋を軽井沢で持つという夢と北くんとの恋愛の狭間で葛藤します。西野も女性へのトラウマから男性しか愛せないと思っていたところ、共同生活を送るなかで南への想いが芽生えたり…それぞれがそれぞれの立場で人生の選択を迫られている。“シェア”という特殊な設定のようにも思えるかもしれませんが、「人生の選択とは―」「幸せとは―」という、普遍的なテーマも描かれていたので、題材としてすごく面白いと感じました。

各キャラクターを演じるキャストの起用理由
――キャラクターの魅力を発揮する俳優陣をキャスティングするのが難しかったと思いますが、まず南を演じる本田さんをキャスティングした理由や期待したことを教えてください。
原作では北くんが主軸なのですが、「来る者拒まず、去る者追わず」という見方によっては“能動的に動かない”キャラクターではあったので、ドラマではそんな北くんをシェアする3人を主軸に物語を組み立てようと考えました。そこで一番能動的でアクションを起こす…となると「南を主演にしよう」と考えました。原作のイメージである「明るさ」があって、南のちょっとガサツな一面を演じても憎めない、ハツラツとした印象がある方…と考え、本田翼さんにオファーをさせていただきました。南にはかなりぶっ飛んだセリフがいくつかあるのですが、本田さんが演じると不思議と憎めないキャラクターになっていて、実際に現場で本田さん演じる南をみて、「南は本田さんしかいなかったな」と確信しました。後に原作者の榊こつぶ先生が「南ちゃんが飛び出してきたみたい」とおっしゃってくださって、これは素直にうれしかったです。
――東子を演じる志田さんはいかがでしょうか。
原作だと4人のなかで一番のしっかり者で、周りをよく見ていて何が起きているかを瞬時に察知できて、バランサーのような役どころです。一方で、真面目だけどそれだけではないキュートな一面も持ち合わせている…ということから、ぜひ志田未来さんに演じていただきたいと思いました。今回のキャラクター(東子)はお姉さん的な存在だったので、お芝居の安心感もあり、志田さんにお願いできてよかったです。初めてのラブコメということで、ご本人がすごく楽しんでいるのがこちらにも伝わってきました。4人のシーンは志田さんの表情からさまざまな心情が読み取れて面白いです。
――西野くんを演じる増子さんはいかがでしょうか。
西野は原作だと北くんとは違うタイプのイケメンで、オタクの設定。北くん含めてイケメン縛りだったので、キャスティングが難しかったです(笑)。マンガでは少し陰なイメージもあるのですが、ドラマでは陰というよりは、北くんとタイプの違う男の子として描けたらと思い、増子さんにご相談しました。実際、第2話の王様ゲームをするシーンで北くんに壁ドンされて倒れるところで、ちょっと寄り目をしながら意識を失う倒れ方をされていたのですが、その細かい表現が本当に素晴らしくて…(笑)。きっと普段グループで活動されて「常に周囲から見られている」ことを意識されているからこそ、こういう表情だとどう見えるか…といった感覚をお持ちなのだと思います。そして、増子さんは岩瀬さんのお顔のファンらしく(笑)。そういう意味でも西野くんとリンクしていたのかもしれないです。

――そんな3人に愛される北くんを演じた岩瀬さん。本人のキャラクターとは真逆なくらい違うとのことですが…。
南、東子、西野の3人に「シェアする」という選択をさせる魔力のようなものが、北くんを演じる方には必要で。これはかなり悩みました。ビジュアル面はもちろんですが、視聴者の方に「そうだよね、この人が北くんならシェアしてでも一緒にいたいよね」と思わせる雰囲気、説得力も大事なので、そういう意味で岩瀬さんへのオファーは必然でした。とはいえ、雑誌やSNSなどで見るクールな雰囲気とは真逆の、髪を下ろして髪色も染めてフワフワ系の北くんは、ご本人にとっても初めての試みだったと思います。岩瀬さんは、本読みの時もどういう北くん像にしようかすごく悩まれていましたが、話し方も普段よりもほわーんとしたトーンで演じてくださいました。現場では、スタッフのあいさつにも“北くん”で返してくれたりと、北くんが抜けなくなっていた時もありました(笑)。

































