
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、2025年6月27日にX(旧Twitter)に投稿された『人気作家の担当編集が突然、交代した理由』をピックアップ。
本作はコミックバンチKaiで連載中の『空五倍子先生の書けない生活』の第一話にあたるエピソード。『ガイコツ書店員本田さん』や『辞めたいナースの八津礼手さん』で話題を呼んだ本田さんの新作だ。本作がX(旧Twitter)に投稿されたところ、2,000件を超える「いいね」と共に多くの反響コメントが寄せられた。本記事では作者の本田さんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
書けない小説家とぶっとび編集者の出会い

小説家の空五倍子先生はスランプの真っ只中。書けない日々を悶々と過ごしている。そんななか編集者から「打ち合わせ」の連絡を受けた。「書けないのに打ち合わせも何も…」とどんよりとした気分で打ち合わせ場所に向かうと、そこには新しい編集担当者が待ち構えていた。
元はゴシップ誌の編集者という彼女。彼女が落としたゴシップを糧に空五倍子先生は再び筆を執る…。スランプ中の作家と個性豊かな面々が繰り広げる出版業界の裏側に「本田先生の作品は軒並み面白い」「本当にイイ」「魅力的すぎるwww」など大きな反響が寄せられている。
作者・本田さん「漫画業界のゴシップから着想を得た」

――抱腹絶倒の書店業界を描いた『ガイコツ書店員 本田さん』に続き、今回は出版業界のお話しですが、なぜ出版業界を選んだのでしょうか?
『空五倍子先生』の構想を始めたのは数年前だったと思います。
今作の担当編集さんが自他共に認めるゴシップ好きで、主に漫画関係の色んな、聞いても誰にも話せない話をいろいろ聞かせてくれました。
私も下世話な話は好きなので、聞いていて面白いんですが、吐き出せないのがつらくなってきたので、「もうゴシップをネタにした漫画にしよう」「主人公は漫画家からちょっとずらして小説家にしよう」みたいな感じで決まりました。
私も編集さんも読書は好きだし、「小説家」の響きにけっこう夢見がちだったので、そちらの世界を覗き見たさもあったと思います。
――本作はスランプの作家が主人公のお話しですが、実際にスランプに陥った経験はありますか?また気分転換の方法があればお教えください。
空五倍子さんのような長期的なスランプには、まだ直面していません。
私の場合、『ガイコツ書店員』の連載中に『ほしとんで』を始め、『ガイコツ』が終わり、『ほしとんで』の途中で『病める惑星』を始め、『ほしとんで』が終わり、あいだに読切を挟み……という、落ち着きのない働き方をしています。
ネームが苦手で、複数作を同時進行すると人相・人格・腸内環境・仕事部屋環境が悪化しゾンビに近づくのですが、このやり方が続いてしまっているということは、おそらく気分転換にも繋がっているのだろうと思います。
もっとちゃんとした気分転換としては、大きいアートを見たり、大きい生き物を見たり、急に演劇を見に行ったり、川辺を徘徊したり、友人と遊んだりなど、仕事部屋から逃げ出す方式をとっています。
ついでに最近の読書は、「原稿が終わった、溜まっていた本を読むぞ」が全然できなくて、むしろネームや原稿で苦しんでいるときの逃げ場にしているので、いろいろ読みあさっています。
――主人公、空五倍子先生の周りに濃いキャラクターが勢ぞろいしていますが、キャラクターを作るうえでこだわった点を理由と共にお教えください。
楽しんで描ける人たちにしないと私がつらい……くらいしか考えていないかもしれません。これは性格の良し悪しにかかわらず、見た目と性格に自分で納得がいけば、たとえば8話のパワハラおじでも楽しく描いています。
周りはわりとサクサク決まっていったなかで、主人公の空五倍子さんは、最初は全然違う見た目でした。
すらりとした優男で、格好良くて、もう少し年配でした。書けずに落ち込んでいる設定は同じです。3話までネームを出したところで、「この人、空五倍子さんじゃない!」と思い、担当さんに「主人公変えて描き直させてくれ」と、自分で考えたくせに迫ってしまいました。
現在の見た目にしたことで、話がとても動かしやすくなりました。思い返すだに奇行でしたが、奏功したと思います。
――本作を描くうえで、実際に参考にしたエピソードや実体験はありますか?ぜひお教えください。
漫画業界のゴシップから着想を得た企画ではありますが、前述の通り、そのまま描けない話しかひきだしにないため、今はあんまり意識しないようにしています。
4話登場の緋銅さんという編集者は自由自在に血を吐く人なのですが、別の編集さんから聞いたお知り合いの方の話をもとにしています。
その方も出版業界におり、働きすぎで吐血したということでした。その吐き方が、「ぽたり」でも「べっとり」「ブハッ」でもなく「ぴゅ〜」だったようで、失礼ながら面白くて、漫画ではもうちょっと変にしようということで「自由自在に」といった非現実的な設定にしました。現在その方は元気に働いているそうです。
あと、5話では思いっきり新潮社の外観に寄せた「白鯨社」の社屋が出てきます。もちろん編集さんの許可を得て描いたのですが、これを描いたことで1話の不倫ネタが変な生あたたかさを持ってないかハラハラしました。『空五倍子先生』はフィクションです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
お世話になっております。おかげさまでどうにかこうにか漫画を描けています。
もうちょっと空五倍子さんと絡めてみたいキャラクターや、追い込みたい状況などがあるので、引き続きお暇なときに覗きにきていただければ嬉しいです!
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
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]
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■コミックバンチKaiで作品をチェックする:『空五倍子先生の書けない生活』


































