
のんきにやってきたカヴァリエが窮地に立つ
まだ優位に立っていると思っていたカヴァリエは、監禁されたウェンディたちの様子を見にきて、身の上話をしたり、“ハイブリッド”は「僕の所有物」「君たちは展示品」と言い放ち「全て台無しにしてくれた」と憤ったりするが、ウェンディがあっさり監禁されていた檻の鍵を開け、銃を構えてカヴァリエを警護していた者をニブスが容赦なくたたきのめしたことで形勢逆転に気付いた。
その上で発したウェンディの「逃げて」という言葉の威圧感は“恐れさせる側”のものだった。カヴァリエが初めて彼女たちに恐怖心を抱いて逃げたところから、ロスト・ボーイズによる大人たちへの逆襲がスタート。しかも、ウェンディはそれを「かくれんぼ」と呼んでいて、ゲーム感覚なのも恐ろしい。少し前までカヴァリエのことを信じていたカーリーも、「私はジェーン」と本当の名前を口にし、これで全員の気持ちが一つになった。
そんな中、ウェンディが「どうしようか」と迷っていたことが一つある。それは、兄ジョーのこと。ニブスを銃で撃ったことで“人間側”についたと考え、“敵”と見なそうとしているが、離れて暮らしていたときの手紙のやりとりを思い返しながら、結論づけられずにいた。そのウェンディを救ったのはスミーだった。彼が優しくハグし、ウェンディの中に残っている“人間性”を思い出させたようにも感じた。
そして「かくれんぼ」はウェンディたちの圧勝。監禁されていたケージの中に“大人たち”を閉じ込め、ピーター・パン気取りのカヴァリエには「ピーター・パンは成長しない少年だけど、あなたは違う。ずっと大人だった。意地悪で怒れる小さな大人」と、辛らつな言葉で現実を突きつけた。
施設を脱走したタコ型エイリアン“T.オセルス”の行方は
これらの出来事と同時に起こっていることがある。一つはウェイランド・ユタニ社のユタニ(サンドラ・イー・センシンダイバー)が施設のある島に向かってきていること。新興企業として勢いづいていたプロディジー社だったが、終焉の時が近いのは明らかだけに、どう立ち向かうのか。
また、タコ型エイリアンの“T.オセルス”の行方も気になる。カヴァリエらはジョーに寄生させようとしたがウェンディに邪魔され、その隙に逃走してしまったが、浜辺で横たわるアーサーに寄生した。
羊ではなく人間に寄生したことで、“高い”と言われている知能を生かして、もしかしたら喋ることができるかも。何を考えているのか分からず、不気味な存在だったT.オセルスが、誰の味方につくのか。あるいは、ずっと観察してきた中で何か企てていたのか。その部分は謎のまま幕が下ろされてしまった。
いろいろな謎が残る最終話を終え、SNSには「最後の最後まで面白かった」「これはさすがにシーズン2あるよね」「エイリアンの広がりを予感させるラスト」「シーズン2待ってます!」「あの終わり方はシーズン2があると信じたい」などと称賛の声や、続編を希望する声が多く上がっている。
ネバーランドをウェンディたちが支配し、カヴァリエも捕らえられたプロディジー社は風前の灯。“5大企業”が世界を支配しているということで、プロディジーがもし消滅しても、ユタニ含めて4社が存在する。シーズン2があるならば、ウェンディたちもエイリアンも島から抜け出し、地球(アース)規模に舞台が広がっていくのだろうか。期待は膨らむばかりだ。
「エイリアン:アース」は、ディズニープラスのスターで全話配信中。
◆文=田中隆信


20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (FOXDP)




























