
長野「千明の萌え袖も抑えておきたいポイントでしたね」
――服作りに打ち込む千明を演じるとあって、長野さんは手先など繊細なお芝居も必要になったのではないでしょうか。
長野:僕自身は手先が不器用なタイプなので、演じる上では(服飾の)先生にたくさん質問していました。初めて洋服を扱う人と、何年もやってきた人では手先にも違いが出るはずですし。プロみたいな人が服作りをする場合には「どうやってやりますか?」という質問を繰り返して、何度も教えていただきながらチャレンジしました。また、原作の漫画に描かれたシーンをしっかりと再現していくことも大事にしていたので、毎日何度も原作を読み返して、原作ファンの方にも喜んでいただけるように演じたいと思っていました。千明の萌え袖も抑えておきたいポイントでしたね。
――アイの色気に千明がドキッとするシーンもしっかり再現されていますね。
長野:1話のタバコのシーンでのアイの色気はヤバいですね。
藤林:あのシーンは原作者の沖田先生も見学に来てくださっていて、緊張しました(笑)。普段の僕にはあまり色気はないと思うのですが、「色気を表現できたら」とは思っていて。今回の役では、自分なりに色気を表現する挑戦ができたと思います。
長野:肩をぶん回していたんだね?(笑)
藤林:色気、行くぜー!って(笑)。僕の色気の右フックを食らっていただきたいです。
長野:ストレートじゃなくて、右フック!?
藤林:そっちから来るんだ!という不意打ちだからね(笑)。

2人にとっての“推し”は「食べ物ですみません(笑)」
――千明がアイを推してやまないように、“推しの存在”が本作の鍵を握っています。お二人が今、推しているものはありますか?
長野:僕はハンバーグです。昔からハンバーグが好きなんですが、あるチェーン店のハンバーグが大好きで。おいし過ぎて、めちゃくちゃ食べています。あれしか食べていないのでは…?と思うときがあるくらい、推しています。ハンバーグは、僕の元気の源ですね。
藤林:僕は、ケバブです。
長野:2人とも食べ物ですみません(笑)。
藤林:街で「ケバブ」の看板を見つけたら、まず買いに行きます。お店ごとに味つけが違ったり、ソースの量が違ったり、お肉の量が違ったりもする。同じお店でも店員さんによって違いがあることもあって、いろいろな個性があるのがまた楽しいんです。スパイスを集めて自分でも作ったこともあるんですが、やっぱりお店のケバブがおいしいですね。
――衝撃の出会いを果たす、千明とアイ&江永。お二人の人生において「これは自分にとって大きかった、自分が変化した」と思うような出会いについて教えてください。
長野:岩井俊二監督の作品を劇場で見たときです。「ラストレター」(2020年)を見たのですが、あまりに素晴らしくて衝撃的でした。それまではお芝居に苦手意識があったんですが、「ラストレター」を見て「いつかこの世界にいられるような人になりたい」「お芝居を頑張りたい」と今まで以上に志を持つようになりました。
今回、初めて主演を務めさせていただいた「PUNKS△TRIANGLE<パンクス・トライアングル>」からは、たくさんの力をもらいました。泰くんが演じたのは一人二役で、その相手となる僕は二役に対するお芝居をすることになって。そういう経験も初めてですし、今後の自分にとって糧になる作品だと感じています。
藤林:僕の実家は呉服業を営んでいるのですが、その仕事を小さな頃から目にできたことは僕にとって、大きな出会いになりました。職人さんが時間と心を込めて、形として何かを残していくことはすごく格好いいことだなと。「自分もものづくりに携わる人になりたい」と、この業界を目指すきっかけの一つにもなりました。
着物を作ることは、柄を織り込んだり、すごく時間のかかるものですが、その仕事が細かければ細かいほど出来上がったときの迫力は相当なもの。それはお芝居も一緒で、丁寧で繊細なお芝居をすることで、また深みのある作品を完成させることができるのではないかと思っています。アイと江永の二役を演じ分けることは、コントロールが必要な部分もありました。それぞれの役の特徴を捉え、その差について考える工程も含め、たくさんの学びのある作品になりました。
◆取材・文=成田おり枝
ヘアメイク=カスヤユウスケ(ADDICT_CASE)、泉脇崇(Lomalia)
スタイリスト=丸尾里奈、小田優士
衣装協力=マインドシーカー(ジョワイユ)、大丸製作所3、Karaln、SHINGO KUZUNO(Sian PR)

































