
「自分は、軽蔑していた人種の仲間入りをしようとしているのだろうか…」
情報提供者に会いに行く道すがら、日向子は初めてのスクープを絶対に空振りしたくない、という記者としての使命感と、17歳の少女を自分の手で奈落の底に突き落とすようなことはしたくない、との良心の間で揺れていた。自分は、かつて軽蔑していた人種の仲間入りをしようとしているのだろうか…日向子は葛藤していた。
情報提供者の男性は、石川まとみと中2から付き合っていたが、彼女がオーディションに受かった後、突然「電話もメールもやめてほしい」と一方的に言われて、悔しくて写真を売ることにしたのだと語った。そして差し出した写真には、ベッドで火のついたタバコを手にして下着姿で横たわる石川まとみが写っていた。
その写真をいったん預からせてほしいと日向子は言ったが、彼は拒否。ならば明日、謝礼と引き換えで渡してもらう約束をして、ベッドにセーラー服姿で座る彼女の写真を「現物が無いと、話を進めるのに時間がかかるから」と説き伏せて入手した。本日、謝礼がもらえないことを相手側は残念そうにしていた。
日向子が「ガセネタ」と気付いた理由
彼女は編集部に戻り、デスクの北浜(赤ペン瀧川)らに写真を見せ、“元カレ”から聞いた、まとみの中学時代のクラスのことや自宅についてなど、裏取りした情報を伝えたが、どれもがあいまいで今ひとつ信ぴょう性に欠けていた。北浜が「写真が合成かどうかも疑ってみないと」と言うと、日向子は「ちょっと待ってください!ニセモノの可能性が高いってことですか?」と動揺…。だが、生成AIなどが問題視されている昨今、素人でもまず本物かどうか疑うはず。日向子はあまりにも純粋すぎる…。
日向子は、アイドル雑誌のまとみのページを見ながら、真偽について思いを巡らせていた。その時、1枚の小さなカットに目が釘付けに。それは、セーラー服姿のまとみの写真で、“元カレ”に渡されたベッドの上の彼女と全く同じだったのだ。雑誌の写真を切り抜いて合成するなんて、稚拙にもほどがある。となれば、タバコを持った下着姿の写真もコラージュ確定だ。
そして、先輩記者の椿(佐藤友祐)が、アイドルに詳しいライターにまとみの情報を聞いたところ、彼女の自宅は、“元カレ”が言っていた「大型マンションの上の方の階」ではなく、こじんまりとした低層マンションの1階。すべてがデタラメだった。

残念!初スクープとはならず
ガセネタ確定でガッカリする日向子に、北浜は「はなから騙しにかかるバカに、いいように踊らされるなんてまっぴらだろ?」と言い、そんなガセネタを信じて記事を書いてしまうと、裁判沙汰や編集長のクビが飛ぶことになるのだと釘を刺し、次回から気を緩めるな、と檄を飛ばした。
初めてのスクープには失敗したが、初めて自分の足で動いて彼女は少しだけでも成長したはずだ。以前、クレーム電話の相手に言われた「週刊誌の存在意義」についての答えはまだ出ないが、日向子なりの答えを見つけるために奮闘する姿を見守りたい。
◆文=ザテレビジョンドラマ部


Universal Music
発売日: 2025/10/15






































