
コミックの映像化や、小説のコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、羽田鮎さんが描く『学会の質疑応答をバトル漫画にしてみた』をピックアップ。
羽田鮎さんが10月27日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、3,000件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、羽田鮎さんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
学会の質疑応答時間はまるで戦場

学会の発表後、質疑応答の時間の様子をバトル風に描いた今作。
発表者である主人公のルートからすると、質問で手を上げる人たちはみな、さまざまな武器や攻撃で質問攻めをする敵に見える。質問に対し、ルートはマイクという武器で太刀打ちする。
残り1分となった質問応答時間。最後に静かに手を挙げたのは学会の重鎮・サトウ先生だった。あたかもゲームに出てくるラスボスのような存在のサトウ先生の攻撃(質問)に、必死で反撃する主人公。
しかし、こちらの反撃をものともせず、さらなる攻撃(反論)を繰り出すサトウ先生に、
「参考になるご意見…ありがとうございます…」
と言ってルートは力尽きるのだった…。
作品を読んだ読者からは、「頭の中は確かにこんなイメージだね」「すごく共感です…」「先生の圧倒的強者感が好き」「バトル漫画として成立するくらい的確で活発な質疑応答いいなあ」など、反響の声が多く寄せられている。
作者・羽田鮎さん「自分が最高に面白いと思えるもの、これが読みたい!と思えるものを描く」

――『学会の質疑応答をバトル漫画にしてみた』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
理系の漫画を描き始めた原点は、"なぜ理系が主人公の物語はこんなに少ないのか" という疑問でした。研究者は、物語の中で脇役や悪役として扱われがちで、現代の研究者が主人公となり、そのリアルな生態まで描かれている作品は本当に数が限られています。一方で、私は理系出身で、周囲には個性的で魅力的な友人や先輩が沢山いました。「どうして理系は主役になれないんだ!じゃあ私が描いてやる!」という、ちょっとした怒りとも言える気持ちがモチベーションになっています。
そして、理系にとって学会は大きなイベントです。特に質疑応答でボコボコにされるのはよくあることで、私自身も経験があります。その光景をバトル漫画で表現したら面白いのではないかと思い、今回の作品が生まれました。
――今作をはじめ、理系の漫画を多く描かれている羽田鮎さんですが、作品を描く上で特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。
心がけていることはいくつかありますが、最も大切にしているのは "自分が最高に面白いと思えるもの、これが読みたい!と思えるものを描く" ことです。書き手が楽しんで描いているかどうかは、きっと読者にも伝わるはずで、それが作品の魅力にも繋がると考えています。大学の授業なんかでも、先生が自分の研究を楽しそうに語っていると、内容が難しくても「きっと面白い分野なんだろうな」と感じますよね。漫画もそれと同じかなと思っています。もちろん仕事ではクライアントの要望に沿ったものをお出しする必要があるので、あくまで趣味で描く漫画の話になりますが。
――『学会の質疑応答をバトル漫画にしてみた』のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
特に気に入っているのは、最後のページで主人公が大御所の先生から「発表、面白かったよ」と声をかけられるシーンです。作中では質疑応答でその先生にボコボコにされてしまった主人公ですが、学会という場は本来、学生も大御所も関係なく対等に議論できる、とても有意義な場です。厳しい指摘を受けることもありますが、その一方で研究内容を評価してもらえたり、新しいヒントを得られたりと、研究のモチベーションが大きく上がる機会でもあります。私自身、学会という場が好きだったので、作品の締めくくりはポジティブな印象で終えたいと思い、このシーンを描きました。Xでもこの場面に共感のコメントを多くいただけて、とても嬉しかったです。
――X(旧Twitter)の投稿には多くの読者から反響があったと思いますが、特に印象に残っているコメントなどはありますか?
特に印象に残っているのは、理系の方からいただいた「研究のアツさや喜び、面白さが伝わってきた」「学会特有の苦しさがありつつも、最後に自分の研究が認められる瞬間の喜びが描かれていて、研究の醍醐味を感じた」といったコメントです。本能のままに描いた作品だったのですが、まさに私が本来表現したい “研究の楽しさや喜び” を受け取っていただけたことが分かり、とても嬉しくなりました。 読者の方の感想から気付かされることも多いので、たとえ一文でもコメントをいただけるのは本当にありがたいことだと感じています。
――羽田鮎さんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
現在は、趣味でも仕事でも大学生〜社会人向けの漫画を描いていますが、将来的には子どもや中高生に向けて“科学の楽しさ”を伝える作品にも挑戦してみたいと思っています。日本は科学技術立国でもありますし、科学者や技術者の卵を育てる一助として、漫画というエンターテインメントで貢献できることがあるのではないかと考えています。そのためにも、まずは自分自身の実力をもっと高めていくことが必要だと思っています。これからも、読んでくださる方に面白いと感じていただける作品を届けられるよう、努力を続けていきたいです。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
今回の漫画がXでここまで多くの方に読んでいただけたのは、初動でいいねやリポストをしてくださったフォロワーの皆様のおかげに他なりません。いつも応援してくださり、本当に心から感謝しています。漫画制作は苦しい場面も多いのですが、そんなときは皆様からいただいたコメントを読み返して元気を貰っています。これからも面白いと思っていただける作品を描けるよう、試行錯誤を続けていきますので、引き続き見守っていただければ嬉しいです。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。



























