ライフプランを立てにくい先行き不透明な時代に突入したいま、将来への不安は尽きませんよね。この連載では、超難関資格のFP1級を取得し金融関係のお仕事でも大活躍中の芸人・サバンナ八木さんが、お金にまつわるライトな相談から家族、仕事、住宅、老後などの問題について、ちょっと笑えてフッと心が軽くなるアドバイスをしてくれます。
第6回の相談テーマは「教育費」について。子どものためとはいえ、最近は教育にお金を注ぎ込む家庭も多く、教育費がかかりすぎて生活が苦しいという本末転倒なケースもあるようです。「教育にお金をかけるのって親の自己満足なのでは？」という悩みも聞かれるなか、八木さんが導き出した答えに注目です！
＜相談者プロフィール＞
・利江さん（46歳女性・非常勤）
・家族構成：夫（48歳）、中学2年生の娘がひとり
・埼玉在住
・戸建住み
・夫は会社員（現在海外赴任中）
“学びのゾーン”に先行投資するのはメリットだらけ！
――前回お話ししたとおり、今住んでいる場所は、教育熱が高い保護者に人気の地域なんです。その影響もあり、うちも娘の教育費について真剣に考え始めたんですが、私自身は正直「そこまでかける必要はないんじゃない？」というスタンスをなかなか変えられません。
八木さん：
今、月にどれくらいかかっているんですか？
――塾代に7万円、他の習い事に3～5万円。毎月10万円程度かかってますね……。
八木さん：
まあ今の時代、それくらいかかってしまいますよね。でもひとりっ子ですから。2人やったら倍です。
―――そうですよね。だけどこの先、高校・大学進学にもどれくらいかかるかわからないし、もしかしたら留学したいと言われるかもしれないと思うと、先のこととはいえ不安が押し寄せてきてしまって。
八木さん：
ここでちょっと考えてほしいことがあります。利江さんの娘さんの場合、現在月10万円＝年間120万円程度教育費がかかっていますよね。仮に中学から高校まで続けるとして、6年間で計720万円。
――かなりの金額です！
八木さん：
金額だけに注目すると確かに高いですよね。720万円っていったらちょっといいレクサス1台ぶんくらいですもん。でもここで、「高級車1台ぶんで子どもの可能性を伸ばしてあげられる！」と発想を転換させてみてはどうでしょう？ ちなみに僕は、レクサスみたいな高級車に乗ったことはないんですが……。
――う～ん、高いか安いかの判断は難しいですけど、子どもひとりにかける先行投資としては妥当な金額なのかもしれない、と思い始めてきました(笑)。
八木さん：
子どもからしたら、その期間は一番の「学びのゾーン」でもあります。たくさん勉強して、いろいろな経験をするのがもっとも大事な時期。その結果、夢中になれることを見つけたり、将来につながるものに出会えたりすれば、言い方はアレやけどすぐ回収できるんちゃうかなって思います（笑）。だから、今払ってる塾代は決して高くないですよ。
我流は非効率！ 塾をうまく利用して効率的に学習させてあげて
――つい大人の基準で「高い・安い」と判断してしまいがちですが、子どもの将来を見据えたうえで、教育に投資するのは悪くないんですね。
八木さん：
そうそう。嫌がっている子どもに無理やりやらせるのはあかんけど、本人が自分の将来のために頑張っているのなら応援してあげないと。
――そもそも私は娘に、「別に塾なんて行かなくていいんじゃない？」って伝えていたんですね。それが、娘から「塾に行かせてください！」と懇願されて、しぶしぶ通わせたという経緯があります。
八木さん：
それはめちゃくちゃかしこい娘さん。
――私は私で、「なんで？ 塾なんか行かなくても勉強できるじゃん」ってムキになってしまって。夜遅くまで話し合いをした結果、「じゃあわかった。でも3ヶ月だけね」とお試しで通わせてみたら、意外と楽しそうに勉強していて（苦笑）……今5ヶ月目です。
八木さん：
自分から塾に通いたがるなんて最高やないですか！ しかも結果的にプラスの影響が出てるし、大成功だと言えるでしょうね。
――実際に塾に入れてみると、学習の理解度やモチベーションにも大きな変化が生まれたようです。自習室に通ったりして、自分から勉強する意欲も高まっているみたい。
八木さん：
そりゃ塾に通わずに自分で勉強して結果を出せればいいですけど、現実ではそうもいきませんよね。だって、やっぱり我流は難しいですよ。効率も悪いし。それにちゃんと気づけた娘さんは素晴らしいですし、せっかく通わせてもらった塾の環境を目一杯利用している点も立派やと思います。
――親が思っているよりも、子どもはちゃんと自分の進路とか将来について真剣に考えているんですね。これからはもっと娘を信じて、やりたいようにやらせてみようと思います。お金がかかることも頭ごなしに反対せずに（笑）。
八木さん：
そうそう（笑）。教育にお金がかかる時期なんて期間限定です。その時期にしっかりと教育費をかけてあげれば、きっと将来、「あの時お金出してあげてよかった」と実感できると思いますよ。
撮影＝水上俊介
取材・文＝野口燈
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