
芸能事務所と週刊誌によるスキャンダルを巡る禁断の攻防戦を描く「スキャンダルイブ」(毎週水曜夜10:00、ABEMA)。芸能事務所の社長・井岡咲(柴咲コウ)の所属俳優のスキャンダルを引き金に、芸能界の闇が次々と暴かれていく。
今回はそのスキャンダルをスクープし、白日の下にさらした週刊誌「週刊文潮」の編集長・橋本正剛を演じるユースケ・サンタマリアにインタビュー。自身が考える芸能界のスキャンダル、そして俳優として生き抜いてきた哲学について語ってもらった。
「目に光がない」表情の意味
――今回演じられた橋本正剛は、何を考えているのかわからない、目に光がないミステリアスなキャラクターでとてもインパクトのある役ですね。いつもカップ天ぷらそばを食べていたり…
橋本は、体に悪いものをあえて摂取することによって、ああいう仕事に対抗しているというか…自分をそういう風に持っていってるような感じはありましたね。僕と同世代くらいの役なので、普通だったら健康に気を使い始める年齢じゃないですか。でも彼は一切それを変えることなく、不健康な生活を続けている。なんだったら「短命で生きたい」「早く死にたい」くらいの感覚で、意識的に体を悪くしようとしているような。だから、目に光は絶対あっちゃいかんと思いましたね。
――あの「目に光がない」表情には、どんな背景があったのでしょうか?
くすぶっているというか、全てを諦めたとか、そういうことでもないんですよね。彼は彼で、ああいう精神的に削られていく仕事をしていく上で、目から光を消すしかなかったんだと思うんです。自分が壊れないように、感覚を鈍らせていないとやってられない。業界で長く生き残ってきた彼なりの処世術だったんじゃないかなと。
でも、この週刊誌の仕事が嫌いだったわけじゃない。自分なりの線引きやエゴもあって、最終的にはそれに引っ張られていく。そういう人間臭いところが、僕はこの役の好きなところですね。

世間の「叩き倒してやるからよ」みたいな風潮を感じる
――ドラマでは芸能界のスキャンダルが描かれていますが、そのリアルさについてはいかがでしたか?
エンタメなのでもちろん盛られている部分はありますが、根っこの部分はだいたい“あるある”というか、リアルに感じました。特に今「何かしでかしたら吊し上げられる」という風潮は、すごく感じますよね。しかもそれが結構「当然だろう」って思われているじゃないですか。「人気があって、キャーキャー言われて、お金ももらってんだろ。とんでもないことしたんなら、叩き倒してやるからよ」みたいな空気感は、確かに存在すると思います。
――会見を開いて謝罪するというのも、お決まりの流れになっています。
そうですね。でも、絶対に会見を開かなきゃいけないかといったら、そうじゃないと思うんですよ。やらないという選択をしてもいいはず。「逃げた」って言われるかもしれないけど、あの場ってものすごい精神的ダメージを受けるだろうし、あれによって精神が壊れてしまう人もいるんじゃないかと思うくらい、すごく怖い場所だと思いますよ。
僕も昔、女性と食事をしていたら勝手に撮られて、家の前で大勢の人が待っていて、仕事現場にも来て質問攻めにあったことがあるんですけど、めちゃめちゃ怖いんですよ。いくら人前で仕事してるからといって、そういうのは別物なので。
――週刊誌の編集長役を演じたことで、スキャンダルを報じる側への見方も変わりましたか?
報じられる側からすると、自分を引きずり降ろそうとする敵みたいに見えるけど、彼らにとってスクープを見つけてくることは「日常」であり「仕事」なんだなって思いましたね。
僕らが芝居をしたり、バラエティでMCをやったりするのと同じ感覚。別に誰かの人生をぶっ壊そうと思ってるわけじゃなくて、普通に仕事としてやっている。扱う内容が内容だけにその結果として、誰かの人生を変えてしまうことにはなるんだけど、その構造は改めて理解しましたね。
――いわゆる「有名税」という言葉もありますが、ご自身はその点についてどう感じていますか?
たまに思うことはありますよ。「なんか、釣り合ってないんじゃないか?」って。みんなが思っているほどいい思いばかりしているわけでもないし、その分、めちゃめちゃ大変なこともいっぱいあるんです。下手なことを言ったら、それこそえらいことになっちゃうし、常に背中合わせの世界なんだっていうのは、特に最近のご時世だと強く感じますね。だから、逆に今は何もできないですよ、僕らは(笑)。
芸能界を生き抜いてきたユースケ流哲学
――そんな厳しい世界で、ユースケさんご自身がこれまで生き抜いてこられた哲学のようなものはありますか?
たまたまなんですけど、僕はもともとお酒をあまり飲まなくて、飲み会とか、合コンが苦手なんです。全ての元凶は、僕はお酒じゃないかと思うんですよ。酔うと、良くも悪くも本来の自分じゃなくなるじゃないですか。気が大きくなったり、“酔ったテイ”に隠れたり。
「酔っていたから覚えてなくて…ごめん」っていう言い訳が、昔からどうしても納得できなくて。「ずるいな」ってずっと思ってたんです。お酒を飲むことで自分をアッパーにしたりダウナーにしたり、そういう場所に行くからこそ、変な人とも出会ってしまうわけで。僕はたまたまそういう場所に寄り付かなかっただけなんですけどね(笑)。
――世間を騒がせる方々は、ある意味「酔っていた」状態だと。
そうですね。みんなちょっと「酔ってた」んだと思うんですよ。お酒だけじゃなく、自分の人気に酔っていたりとか。そういう面があったんじゃないかなと。だから、僕はお酒の力に頼るんじゃなくて、そういう場じゃないところで自分を上げていきたいと、いつも思っていますね。

タレントに事務所のサポートは不可欠
――このドラマはスキャンダルだけではなく、タレントを育てる芸能事務所スタッフたちの奮闘も描かれています。ユースケさんご自身が、事務所やマネージャーさんのサポートの力を感じるのはどのような時でしょうか?
それはもう、常にですね。僕は、自分一人で仕事を選んでいるわけではないんです。何かお話が来た時、まずフィルターとしてマネージャーを通します。「これ、ユースケさん好きじゃないかもしれません」とか「こういう役をやってみたら客観的に見て面白いと思います」とか、まず彼らの意見がある。僕を客観的に長く見てくれているからこその視点ですよね。
事務所によっては、1人のマネージャーさんが大勢のタレントを見ていて「あまりマネージャーと会ったことがありません」というタレントもいますが、僕はそれダメですね。ある程度お付き合いできないと。今の事務所もそれが可能だから選んだんです。
――マネージャーさんやスタッフの方と一緒に「ユースケ・サンタマリア」の方向性を決めているんですね
自分の好みだけで言ったら、本当にちっぽけなものになりますから(笑)。「こういうのやりたい、ああいうのやりたい」って言うだけじゃなくて、客観的な目線がどうしても必要なんです。自分で「客観視しよう」と思っても、結局は自分のエゴになっちゃう。だから、本当に近くで見てくれている人の意見がすごく大事なんです。
――それはご家族の意見よりも重視されているのでしょうか?
うちの母なんか、僕が出ている作品を見たら「あんたが一番かっこいい」って言いますからね(笑)。それはもう、親の欲目でしかないから何の参考にもならない(笑)。うれしいんですけどね。それとは別に、本当に冷静な目が必要なんです。
――ネットの評判などはどのように対応しているのでしょうか?
エゴサーチはしないですね。メンタルが弱いので(笑)。10個褒められても1個ボロクソに言われたら、その10個の賞賛が全部消えちゃうんですよ。全然建設的じゃないなと思って。だから、マネージャーが肯定的な意見だけをピックアップして送ってくれるのが、僕の精神安定剤になってますね。50歳過ぎてね(笑)。
――最後に、この「スキャンダルイブ」という作品について、改めて見どころを教えてください
このドラマは、偶然にも今の時代に合ったテーマですけど、決してそれを狙って作ったわけではないんです。大仰に描いている部分も含めて、エンタメとしてすごくいい形に着地したなと思っています。
そして何より(柴咲)コウちゃんのラストシーン。「お前に言ってんだぞ」っていうメッセージが成立するのは、彼女のすさまじい役者力、あの“目”があってこそ。僕なんかやったら大変なことになってましたよ(笑)。そういう部分も含めて、このドラマの世界観を存分に楽しんでいただけたらうれしいですね。
撮影=阿部岳人
スタイリスト=藤本大輔(tas)
衣装協力=ETHOSENS

第6話:12月24日(水)夜10時~
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